外に出ることが許されない、父親を拉致されても抵抗できない、想像もできない極限状況。
タリバンに制圧されていくアフガンのカブール。
女として許されないことを、父親が不在となった家で男として生きる少女パヴァーナの壮絶な生き方が、これでもかこれでもかと読み手に杭を打ち込むように響いてきました。
殺されても文句が言えないのです。
理不尽なことに言い訳も許されないのです。
この絶望的な事実が、決して作り事ではないことを知っています。
それだからこと、このパヴァーナの生き方には感銘を受けます。
家族がいます、知り合いがいます、通学できたころの学校友達も。
それが、タリバンの恐ろしい支配のもとに、一つ部屋の中が、唯一生活できる場所となってしまいました。
パヴァーナは、外に出ることでいろんな現実を知ります。
そして、生きのびるために必死の生活をします。
今、その話を読んで、「生きのびるために」ということは他人事ではないことを感じます。
今を生きること。
この物語に書かれていることの深さと重量感を語るのはとてもできそうにありません。
拉致されていた父親は帰ってきました。
パヴァーナを残して、姉のヌーリアの結婚式にと出かけた母と兄弟たちが行ったマザリシャフがタリバンに制圧されたとのこと。
家族の安否は不明です。
暗闇を残して物語は終わります。
大丈夫だったのでしょうか?
タリバン政権はその後、あの9.11の同時多発テロを迎え、ビン=ラディンの死を迎えます。
パヴァーナとその家族は今、生きのびているのでしょうか。