とっても可愛い、ひよこのぴよちゃんの物語です。
ある日、しましまのたね(この表現が、この絵本にとっても合っていて、可愛い!)を見つけたぴよちゃん。
さっそく食べようとしますが、たねはいいます。
「明日まで待てば、はっぱが食べられるようになるよ」
次の日、芽生えたはっぱを食べようとすると、
「たくさん待てば、もっとはっぱが増えて、大きくなるよ」
ぴよちゃんは考えたあげく、もっと待つことにします。
そうこうしている間に、たね(ひまわり)との友情が芽生えてきます。
小さく愛らしいぴよちゃんには、つい和んでしまいます。
けれど、ひまわりは夏が終われば、しぼんでしまうのです。
この場面が実に秀逸。
終始、かわいらしい絵なのですが、確実に「死」を意識させる場面となっています。
ひまわりの為に、何度も遠くの池から水を汲んでくるぴよちゃんが、
あまりにもせつなく、やるせない気持ちになってしまいます。
けれど、この物語は、「死」だけのお話ではありません。
「再生」のお話なのです。
この絵本の最後の場面では、死の場面に思わずギュっとしぼんでしまった心が、きっと、ほろりとほどけてくるでしょう。