ニひきのまものがりっぱなまものになろうと、修行の旅へと出かけていきます。
その修行とは、とくかく悪行を重ねることです。この「悪行」という言葉、読んでもらった子は「?」とならないでしょうか?それとも今は戦隊モノなどのTV番組を見ているから、すんなりと入っていくのでしょうか?
しかしこの二ひき、優しいところがあると絵本では言っています。人間に出くわした時、自分から襲うことはなかったものの、人間が銃を打ってきたら我を忘れ、襲いかかり、赤ちゃん連れの両親を殺してしまう。しかし赤ちゃんのことは哀れで、育てることにします。
その後、人間がくま狩りをしているところに出くわし、人間が母ぐまを殺そうとしているのを見て、凶暴性を発揮、人間を襲います。しかし、連れていた赤ん坊が人間が撃った玉にあたって死んでしまいます。そのあとの魔性ぶりは、すごく残酷なシーンでありながら、絵から伝わってくるものがなく、のっぺりとした感じしかしません。
後半は、母ぐまを殺されてしまったこぐまを育てる二ひきのまもの。
しかし、「まもの」であることと、赤ちゃんや、こぐまを救って育てるという二律背反な性質の描き方が、中途半端で、この絵本は何をテーマに、誰に読んでもらおうとして描かれ、編集されているのか、焦点がぼやけてしまっており、読後感はとても「ザラリ」としていました。