大きな国の人たちが信じている幸せな暮らしとはなんでしょうか。
大きな国に併合されること?
自分たちと同じように暮らすこと?
でも、それって本当に幸せなのかしら?
そんなことを考えながら読み進めていきました。
そして、最後に残された小さな国。
この小さな国には兵隊がいません。
これでは戦争ができません。
って、ちょっとまって。大きな国の目的は、小さな国を併合して、大きな国にして、人々を幸せにすることなんじゃないの?
戦争することじゃないよね?
いったい、どうなるんでしょう?
もちろん、戦争なんてしません。兵隊がいないから戦争できない…のではなく、小さな国の人たちには、兵隊も戦争も、それどころか国境すらも、必要ないものなんです。
大きな国の兵隊たちを歓迎し、迎え入れ、一緒に歌を歌い、冗談を言い合いながら、笑い転げちゃう。そんな人たちなのです。
何人兵隊を送り込んでも、小さな国の人たちの暮らしに巻き込まれてしまいます。最終的に大統領は、数人の見張りだけを残して引き上げるのですが、この見張りも、大統領が見えなくなるとさっさと普段着に着替えて、小さな国の人たちに紛れてしまいます。
最後の最後。
息子に歌をせがまれて、大統領は歌を歌うのですが…。その時に歌う歌は、あの小さな国の歌。
征服したのかされたのか? なんだかすっきりしない終わり方ですが、世の中には白か黒かで片がつく問題だけではないんだよ、ということを教えているようにも思います。
何が幸せなのか。どうしたら皆が幸せになれるのか。
一番大切なのは、そこなのではないでしょうか。