50年ほど前、
東京近郊の農村で夏を過ごした少年の不思議な思い出。
この少年、大人には見えないものが見える。
子どもにしか見えないもの。
けれど、どの子どもにも見えるわけではないもの、が見えるだ。
人間の暮らしと隣り合わせに、昔からずっと静かにいるものが。
切り口の鋭利なファンタジーではなくて、
昭和の日本ののどかさが流れるファンタジーです。
少年の不思議な力は、“察する力”とでも言った方がぴたりときます。
その力で何をするでもなく、ただ察して見て体験する少年。
戸惑う少年に寄り添い、そっと導いてくれる大人たち。
斉藤洋さんのお話しは、読んでいてほっとします。
農村の風景描写が、とても懐かしい。
暑い真夏にひんやり肌に感じる、大きな農家の土間の暗さが蘇りました。
ぜひ夏休みに読みたい児童書です。
中学年から大人まで、おすすめです。