『3びきのこぐまさん』でファンになった村山夫妻の作品です。といっても、肝心の文章が紛失したため、息子の亜土さんが知義さんの原画から考えて再話したものです。ご家族全員の共同作品です。
各ページの縁取りが、手ぬぐいに使われるような古典柄で、とてもきれい。昔の電話や右から書いてある看板の字など大正・昭和初期の雰囲気が出ている箇所もいくつかあり、レトロな感じが素敵です。
お話は他愛もないものですが、話の内容より、全体を流れる雰囲気を楽しんで欲しい絵本です。
欲を言えば、実際に村山籌子さんが書いた文章だったら、言い回しなどがもっと「古き良き時代」風で、レトロ調にも磨きがかかっていたような気がします。