立春から始まって大寒まで、二十四節気に合わせて、俵さんの短歌と、U・G・サトーさんの趣向を凝らした富士山のデザイン画がぴったりのおしゃれで美しい絵本です。
富士山が、俵さんの歌に合わせてどのように描かれているか、例えば富士山の雪が鳩の形だったり、虫とり網が富士山だったりと、24の違った富士山の姿に出会えます。絵を見ても楽しめますし、歌の解説とともに、二十四節気の解説もあり、大人でも子どもでも楽しめる1冊です。
長く海外に生活をしていましたが、一時帰国の度に飛行機の中から見下ろす富士山の姿に、毎回懐かしいとともに日本っていいな〜、と思っていました。
富士山はまさに日本の象徴。それに合わせて、五・七・五・七・七のことばで表現される世界は、日本語の奥深さ、また日本のことばの文化の豊かさを感じます。
先日、福音館書店の主催で行われた俵万智さんと松居直さんの対談を聞いてきました。その中で松居さんは二十四節気は、もともと中国の暦であったこと、それが日本の農耕文化の中に根付いていることを、この本を読んだ子どもたちが大人になってからでもいいから気がついてほしい。何かと中国との摩擦が伝えられているが、日本は古来から中国と文化の交流を続けてきたということを知ってほしい、とおっしゃっていました。
日本の美を伝えるこの絵本は、手元において季節の移り変わりと味わいつつ子どもたちと読んであげるといいと思います。また大人の方にも、海外にいる友人にも喜ばれると思います。