人の一生を考えさせる大人の絵本
昔…イタリアにジャグリングの上手な道化師がいた…
七色のボールを操り、最後に金色の玉を空高く投げ上げる技を得意として人気を得ていたのだった
しかし旅まわりの長い年月がたち、老境に入ったある日…手ひどい失敗をして引退を決意する
彼は食べるものにも困るおちぶれた姿で故郷に戻った
転がり込んだ教会ではキリストの誕生を祝い大勢の人々が捧げものしていた…しかし何も持たない彼は母子像の前で精いっぱいの芸を見せるのだが…
アナトール・フランスの小説にもなった民話に取材しているが、人を喜ばせる仕事を全うした主人公ジョバンニの姿は普遍性を持って胸を打つ…デ・パオラ独特の色調と様式化された絵は物語の世界をうまく描いている
<長者の万灯より貧者の一灯>という仏教説話を思いしたのだが、それはまた別な話…