二つのお話が入っていますが、どちらも子どもと人形・ぬいぐるみとの親密な関係を描いた絵本です。
「スザンナのお人形」では、とても可愛げのないスザンナに最初は共感できませんし、立派なオモチャにも愛着のかけらもなかったのかとオモチャを買う側の立場としては、憤りも感じてしまいます。
けれど、そんなことはなかったのです。
子どもには、ある時期、決して他人の踏み込むことが出来ないような、特別なオモチャとの親密な関係を持つ時期があります。
この物語は、そんな関係を見事に描いています。
強情だったスザンナが、大声で叫ぶところでは、感動すら覚えます。
大人でも、昔の自分と特別なオモチャとの濃密な時間を懐かしく思い出すことの出来る絵本です。