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成長を見守るやさしいまなざし
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投稿日:2006/06/22 |
小さなこぐまは、小さなボートが大好きです。湖をすいすいこぎまわったり、魚を獲ったり、寝転がって夢を見たり。ボートは、こぐまの大切な友だちでした。ところが、小さなこぐまはどんどん大きくなり、小さなボートからはみ出てしまうほどに。何度も乗ろうと試みるこぐまに、母さんぐまが言いました。「ボートには、もう のれないわね。こぐまは、いつかは おおきくなるの。そしてね、ちいさなボートは、いつまでも、ちいさいままなの」。
帯にある「成長していく子ども、そっと見まもる親、手わたされていく思い」が、そのまま描かれた絵本です。戸惑うこぐまが取った行動、それを見守った母さんぐまのまなざしが優しくて、じーんとあたたかな気持ちになりました。わかりきっていることなのに、こんなに深く子どもの存在が感じられるとは思いもしなかったのです。
子どもの成長は、早足で過ぎていく日々の中では、はっきりと目にしにくいものです。でも、服が短くなっていたり、靴が小さくなっていたりと、ある時ふと立ち止まった一点で感慨深く実感できるものでもあるでしょう。そんな発見の喜びを抱きながら、幼児期だけでなく思春期を迎えるときも、この母さんぐまのようにゆったりと大きく子どもたちを見守りたいと思いました。「絵本の力」が、しみじみと伝わる一冊です。
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バラの季節に
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投稿日:2006/06/21 |
おばあちゃんからいただいた水差しのバラがしおれてしまい、がっかりするレイチェル。そこで、お母さんと苗木を買いに行き自分でバラを育てることにしました。絵本には、四季を通してバラを栽培したレイチェルの姿が、多彩なパステルで描かれます。
「女の子とバラ」は、ほんとうに可憐な間柄。懸命に苗木から面倒を見るレイチェルの姿が健気で、胸打たれました。まっすぐな目で、バラに気持ちを注ぐ姿勢がいいのですね。巻末に、バラの育て方が収録されている点もすてき。バラを大切に育てていた父を思い出し、ノスタルジックな気持ちに浸れました。
ワッツの美しいパステル画に魅せられ、いつかは手に入れたいと思っていた絵本です。バラの季節を迎え、読めてよかったと思わずにはいられません。ページを開けば、甘い香りに包まれるようでした。
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音楽のすばらしさを伝える
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投稿日:2006/06/16 |
もぐらの奏でるバイオリンを通し、音楽のすばらしさを伝える絵本です。初めは何も弾けなかったけれど練習を重ね、地中でうれしそうにバイオリンを演奏する姿が印象的でした。
腕の上達したもぐらはバイオリンを通して世界の平和を願いますが、実際にその音色が地上の人々に平安と幸福を与えているとは知りません。幸せそうにバイオリンを弾けば弾くほど、安らぎが地上を覆う光景を見て、音楽の力をあらためて実感しました。
地上でのできごとは、彼の夢? 息子とわたしの間では、「これは、現実に起こっていることだよ」となっています。
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心に響く、たからもの探しの旅
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投稿日:2006/06/14 |
英国に伝わる古いお話を絵本化したという作品は、なるほど人生の妙を伝える深さを持ち得ています。主人公は、貧しい男アイザック。夢のお告げに導かれ、旅先で運命の出会いを体験します。読み終えてみれば、「これが人生」とおおいに納得できるお話でした。最後、祈りの家に刻まれた一文が、すべてを語っています。
偶然なのでしょうか。画風(というか、描かれている風景など)が、シュルヴィッツ渾身の最新作『The Travels of Benjamin of Tudela: Through Three Continents in the Twelfth Century』を想起させ驚きました。(すべてがそう、というわけではありませんが。)
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なんて かわいい!
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投稿日:2006/06/01 |
久々に、わたし的に大ヒットの絵本に出会いました。主人公は1匹のねずみくん。きれいな、真っ赤なりんごを見つけ、こっそり土の中に埋めてしまいます。りすやことりやかめなど、ほかの動物たちが何を隠したのか尋ねても、「ぼくだけの ひ・み・つ」と教えようとしません。でも、そうしている間にね、ねずみくんの背後ですてきなことが起こっているのです。
見開き左ページ下に文章、右ページにイラストという構成が、ささやかなドラマを効果的に盛り上げます。真っ白な空間に、りんごの赤、動物たちの体の色が映え、作者が「色彩の魔術師」と呼ばれるゆえんがよくわかりました。見返しのりんご模様、「ひ・み・つ」の「・」の部分がりんごマークになっていたり、「ひ・み・つ」の文字色が動物の色とお揃いだったり、お洒落でかわいらしい演出も心にくかったです。
とっても幸せでキュートなお話です。りんごの季節にぜひ読みたい1冊。表紙の赤、リボンのようなタイトル文字を見ていると、りんごの焼き菓子といっしょに誰かに贈りたくなってきます。
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男の子の心理を描く
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投稿日:2006/05/18 |
お母さんとお買い物に行った男の子の心理が描かれる絵本。日本語の読みづらい箇所もありますが、小さな子どもの内面が巧みに描かれています。
お母さんといっしょに買い物に出かけた男の子は、市場の人込みの中で思わず自分を見失いそうになります。辺りはいつの間にか暗い森に変わり、おおかみがこちらを見ていました。「おかあさん!」と呼んでも返事はありません。そのとき、男の子はすずめのひなを見つけました……。
いろいろな具象物が象徴となって登場し、小さなできごとにもかかわらず不安、安堵、勇気が子どもの目線で表現されています。
静かなひとときに、すっと入り込める絵本。好き好きがあるかもしれないなあとも思いましたが。
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斬新アートで描く「マッチ売りの少女」
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投稿日:2006/05/18 |
アート絵本としてみたら5つ星、でもお話絵本としてみたら3つ星ぐらいかなと感じた作品です。アンデルセンの「マッチ売りの少女」が、こんな斬新なアートを切り口にして描かれるとは夢にも思いませんでした。
初めて読むアンデルセンとしてはお勧めできませんが、大人がアートを見る目でページをめくるとイメージの世界に遊べます。
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時計に興味を持ったら
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投稿日:2006/05/18 |
屋根裏部屋で古い時計を見つけたヒギンズさんは、ちゃんと時間があっているか確かめようと新しく時計を買ってきました。寝室に置いた新しい時計は午後3時をさしています。屋根裏部屋に行ってみると、そこの時計は3時1分でした。「おやまあ! どっちのとけいが ただしいのかな」。そこで、もうひとつ時計を買ってきたヒギンズさん。台所に置いたその時計は午後4時10分前、急いで屋根裏部屋に駆け上っていくと時計は4時8分前です……。
ちょっと考えれば時間差から生まれるおとぼけぶりがわかるお話です。でも、時計の読み方と、時計の魅力がたっぷり詰まっていて、子どもはあきないことでしょう。娘が時計の分針の読み方を習いたいと言っていたので、ぴったりのタイミングで出会えた復刻絵本でした。楽しいです。
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水の美しさを伝える写真科学絵本
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投稿日:2006/05/09 |
雲、雨、雪、氷、虹など水の作り出す不思議が、透明感いっぱいの写真と共にわかりやすく説明された絵本です。分子、表面張力、蒸発、凝結などの科学用語が出てきますが、それより何より、写真を眺めているだけでも十分に価値のある絵本です。水ってこんなに美しいものだったんだ……と、表紙の水のしずくを見てまず心が洗われました。自然はそのままの姿ですでに美しいことが実感できます。水のいろいろな表情に魅せられて、息子はさっそく表面張力の実験をしていました。
「しずくのぼうけん」の後におすすめの1冊です。続けて終わりのない水の旅を楽しむことができます。
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夢と希望はバラ色
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投稿日:2006/04/15 |
いつかはきっと……、こうなったらいいな。そんな女の子の素直な願いが、ふんわり優しく描かれた絵本です。モノクロ鉛筆画に淡いオレンジ、桃色、ひまわり色で着色されたイラストがまたすてき。言葉にも絵にも、女の子の夢がささやかに詰まったかわいらしい絵本。子どもの頃に出会いたかったと、手に取り思わず感じました。
主人公の女の子の夢は……、髪を長くしたり、お兄ちゃんが自分を「うちのちび」と呼ばなくなったり、バレエが上手になったり……と、日常のできごとに関することばかり。だからこそ親しさが生まれ、自分に近い夢の存在にもなります。終わり方もかわいいのです。
特に女の子を持つお母さんに。
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