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ふしぎな はこ

ふしぎな はこ(評論社)

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もゆら

その他の方・60代・神奈川県

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自己紹介
 自宅と図書館の本棚を行ったり来たり。街から本屋さんが引潮のように消えていく。悲しいなぁ。
好きなもの
 心躍る音、きらめく色、時を孕んだ文字、手にとって読む絵本。やっぱり、想像したり、創造することかなぁ。
ひとこと
 絵本に励まされ、教えられ、涙や笑いをたくさんもらって育てられ、しあわせなこと、しあわせなこと。

もゆらさんの声

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自信を持っておすすめしたい あぁ、待ちどうしかったよ  投稿日:2023/11/24
トラさん、トラさん、木のうえに!
トラさん、トラさん、木のうえに! 作: アヌシュカ・ラヴィシャンカール
絵: プラク・ビスワス
訳: うちやままりこ

出版社: 評論社
 朱赤と墨が映える表紙、おーい、読んでよーって誘われてしまった。トラがあれ?木の上じゃないぞ、川じゃん!へぇー、どれどれ…とページ繰る。

 どこか懐かしい、色つき影絵か、氏神さま境内で見ていた紙芝居を思い出した。ページ上の文字が、絵本の後ろから誰かが、声を出して語っているように思えたのだ。その距離がとても楽しい。

 版画風の朱赤と墨2色。トラと川(ざっぷーん)、トラとヤギと木(ひゃぁーー)、トラと網と木(かみつくかなぁ)、どこまでも分かりやすく、ワクワクする。アヌシュカ先生とプラク画伯の目線が、私の気持ちを先導してくれているようだ。

 村人たちの表情、動作、意見、合議、挙手…どれもこれも見る者、聞く者の気持ちと一緒になって、ページ上の文字に書き表わされているようだ。素敵なその構成が、時を忘れて絵本に参画させてくれる。

 そして微笑ましいほどのお終い。トラさん、トラさん、今はどうしてるのかなぁ、と思いを馳せる。あぁ、待ってましたよって、つい言いたくなってしまった。

 アヌシュカ先生とプラク画伯、そして評論社に
こころから感謝。
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自信を持っておすすめしたい 物語る絵の本  投稿日:2023/11/24
ロンドンのマドレーヌ
ロンドンのマドレーヌ 作・絵: ルドウィッヒ・ベーメルマンス
訳: 江國 香織

出版社: BL出版
 どれだけ多くの人々に愛されただろう。
どれだけいろんな仕事を見てきただろう。
どれだけ皮肉を、悪戯を書き込んだだろう。
描くこと、書くことで街のみんなを楽しませて、
笑わせて、心配させて、びっくりさせてね。

 Ludwig Bemelmans、あなたの絵が好きです。
一枚の絵が、物語るのです。
一本の樹、一頭の馬、一人の衛兵、一軒の店、1台の車、一棟のビル、彼の描くそれぞれが演じるのです。

 パリからロンドンへ、素敵な旅物語り。
ありがとう 感謝。
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自信を持っておすすめしたい しあわせはどこから?  投稿日:2023/11/10
ジョニーのかたやきパン
ジョニーのかたやきパン 作: ルース・ソーヤー
絵: ロバート・マックロスキー
訳: こみや ゆう

出版社: 岩波書店
 老農夫婦グランブル&メリーと、お手伝い坊やジョニーの平凡でちょっと大変な農家暮らしのおはなし。
 ミントとチョコ色の、アメリカチックな二色刷り表紙に吸い寄せられてしまいました、画伯マックロスキー殿。どのページも躍動感いっぱい、とても楽しいです。

 グランブル爺さんは「くらしはちっとも良くならん」と愚痴る。日々の食事が摂れることくらいが幸せの欠片。あぁ、それなのに災難は突然やって来る。家畜の鶏がキツネに、羊が狼に、豚が行方知れず、牛が小川で。。。食糧不足は人も同じ、ジョニーが口減らしだ。メリー婆ちゃんせめてもの詫びにと彼に持たせた「硬焼きパン」。これがドラマを起こすとは、あっぱれルース先生!

 平凡、偶然、災難。グルグル周ってそれが自然だ、そう思っていたけれど、ジョニーのように運が向くでしょうか?ルース先生。しあわせってどこから来るんでしょう?マックロスキー画伯。

 絵本でよかった、そう思える時代が続きますように。
岩波書店に 感謝。
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なかなかよいと思う 自然は正直  投稿日:2023/11/09
川はながれる
川はながれる 作: アン・ランド
絵: ロジャンコフスキー
訳: 掛川 恭子

出版社: 岩波書店
 色鉛筆のタッチの向こうに、画伯ロジャンコフスキーの興味あふれる観察眼が光っているようです。草花、樹木、昆虫動物、天空大地に風雨日照、そして人里、街並み人工物、丁寧に描きこまれたページは清々しい。

 私たちは水がなければ生きてゆけません。川の流れが涼やかに思えるのは、そうありたいと願うからでしょうね。大自然から生まれる水の流れ、川に恩恵をどれほど受けているか、よく思い出さねばなりません。

 自然は嘘をつかず、正直です。荒れ狂う濁流にだってなるのです。ランド先生、続編も期待します。

岩波書店に 感謝。
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自信を持っておすすめしたい 見るよりあそぼ  投稿日:2023/11/09
ぴーぴー ばっくしまーす
ぴーぴー ばっくしまーす 作・絵: 片山 健
出版社: 福音館書店
 あぁー、これひとりじゃ遊べないわ!と気付いた瞬間、片山ガキ大将のイタズラ好きに感心した。

1。ヨレヨレ手書き字
2。後向きチョーク線後退り引き
3。おしり「どん」
4。けらけらぶつかり同士笑い

 自分でばっくしますと言いながらぶつかることの矛盾の可笑しさが、片山先生「ご注意ください!」抜けてますよ、と申し上げる苦言の真面目さより勝るのです。こんちくしょうでしょう?

 教育という形に詰められた研究者の分析も大切ですが、たまには実験的片山ドクターの処方箋も、刺激的かと。みんなで大笑いできる遊び絵本で。

イタズラ好きに 感謝。
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自信を持っておすすめしたい 魔法のことば  投稿日:2023/11/09
もしもしおでんわ
もしもしおでんわ 文: 松谷 みよ子
絵: いわさき ちひろ

出版社: 童心社
 「もしもし」。。。それを口にすると、見えない相手とおはなしできる不思議。まるで見えているかのように。いつ知ったのかなぁ?

 「じりりーん じりりーん」。。。音がなる。見えない相手が私を呼んでる不思議。誰かが私とおはなししたがってるって、なぜ知ったのだろう?

 朝の身支度は年長者が子に教える。毎朝それを繰り返すうち、自然と見て習うが松谷先生、魔法のことばを唱える電話を使った!

 夜明けに太陽さんから、顔を洗ったかとアヒルさんから、さあでは外へ散歩に出ましょうと蝶々さんから、お呼びの電話が鳴る。そりゃあもう「もしもし」でしょう。呼ばれるってうれしいことですから。

 岩崎画伯の魔法で「もしもし」が夢の国からやってきたような、半世紀を越えて、悔しいけれど母と子をつなぐ赤い糸のような絵本だと、父は感じてしまった。

童心社に 感謝。
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自信を持っておすすめしたい 「これ  投稿日:2023/11/08
ちゃうちゃう ちゃうねん
ちゃうちゃう ちゃうねん 作: もり なつこ
絵: はしもと えつよ

出版社: 文研出版
 「ちゃうちゃう ちゃうねん」・・・方言に惹かれてページを繰ったものの、子どもの「これ あげる」というひと言、その理由探しを親である大人がさせていることに実は心が痛んだ。

 子どもの言葉は無垢で、素直そのまま。飾らず、ストレートで邪推がない。なのに大人はなぜか、すぐ飾りたがる。余計なお世話をしたがる。二人の主人公が自分の気持「これ あげる」と、大人の余計な邪推「好きかも」との間を行ったり来たりする。一週間もの間、あーでもない、こーでもないと考えを巡らせる。ページを繰りながら読手の私がなぜかドキドキしているではないか。

 月曜約束の日の朝の教室描写が素晴らしい。背を向けて立つあっくん、その向こうにあっくんを見つめるゆいちゃん。教室の仲間がみんな風景になる不思議。ドキドキが聞こえてきそうな切取りだ。

 「これ あげる」と「ありがとう」と。ふたりの自分の素直な気持ち、考えて少し悩んだけれど、ほこほこする気分に行き着いてちょっと涙。
ちゃうちゃう ちゃうねん、眼にごみが。

 遠い昔のこと、思い出しました。ありがとう。
感謝、もりなつこ様・はしもとえつよ様。
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自信を持っておすすめしたい 世界の偉い人たちへ  投稿日:2023/10/27
だれのせい?
だれのせい? 作: ダビデ・カリ レジーナ・ルック −トゥーンペレ
絵: レジーナ・ルック −トゥーンペレ
訳: ヤマザキマリ

出版社: green seed books
Davide Caliさま

 「誇り高い」とはこういうことなのだ、と本来の姿を書いてくださり、ありがとうございます。

 自己中なクマの戦士の犯人さがしですが、どうぶつたちの姿を借りなければならないほど、自らの粗相すら素直に反省できないようになってしまったのですね、私たち人間は。

Regina Lukk-Toompereさま

 温かで丸みある色彩、丁寧で繊細な模様、どうぶつたちのキュートな表情、あなたの表現は眼に、こころに優しく響きます。ありがとうございます。

 子どもたちに今を届ける手立ては、神様に背を向けることなく素直に、伝えること。大人はすぐ犯人さがしをするのです、義人はいないと知らされ、知ったその日から。勇気は平和の使者、平和は森のみどりなのに。

世界の国の偉い人へ

 奢りと剣を下ろすのに、大義は要らない、そう書いてあるのですよ。あゝ、ちょっと字が小さ過ぎましたか。大儀でしょうね、ご無礼お許しを。

green seed books社と翻訳者に、
感謝
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なかなかよいと思う 色への憧れ  投稿日:2023/10/26
ぴっぱぴっぱのふしぎなくに
ぴっぱぴっぱのふしぎなくに 作: 糟谷 奈美
出版社: 至光社
 色が宝物に思える時、この手に持っていたいと母をよく困らせたものだ。幼い頃の、色への驚きと感嘆は、心にしまい切れぬほど大きい。

 レストランの地下に住む七人の妖精が、自然の色を次々と集める:葡萄の青むらさき、葉っぱのみどり、林檎の実のあか、蒲公英のきいろ、檸檬のきいろ、空のあお、海のあお、夕焼けのあかねいろ・・・。虹のように消えて行かないでと、祈りながらページを繰る。

 私は目が見える。だから光の色に遊ぶこともできる。このえほんは、言葉にも色がさしてある。ありがたい。きらきら、くるくる、しゅっしゅっ。るんるん、ぴっぱぴっぱ・・・。目を閉じて、ことばの色を想像する。

 子どもの色への憧れをこの絵本は優しく、眼の前で繰り広げてくれる。毎日毎晩、好きなとき好きなだけ、独り占めできる。ぜいたくだなぁ。

 糟谷画伯の世界に、感謝。
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自信を持っておすすめしたい 龍神の神隠し  投稿日:2023/10/12
ニューワと九とうの水牛
ニューワと九とうの水牛 作・絵: 小野 かおる
出版社: 福音館書店
 不思議の黒い九つ岩中洲のはなし。
一人の子どもと竜神との交信が描かれてゆく。

 地球温暖化を騒ぐ世の中。しかし日照り雨乞い、大雨河川氾濫が竜神さま雷様のお怒りだと、大昔の噂で聞かぬ人はいなかっただろうに。そう、悪さの規準知らぬ人間の愚かさを誰もが知っている。ただその責任を、忘れたフリをするのだから、困ったものだ私達は。そんな無責任を、主人公ニューワの正直な口が先走ったか、竜神さまの三番目の姫に生真面目さを好かれて強制婿入り。するとどうだ、人里が、平穏無事を取り戻す。もはやこうでもしなければ、人の未来はおとずれないのだろうか。

 九頭の黒い水牛が、目の先導役になって色彩を際立たせてくれる。はなしはSFチックで、浦島劇場のようで、細かい心情が先に現れてページを早く繰れと急かす。

 作家小野かおる画伯に感謝。福音館書店に感謝。
いつも心に栄養を、ありがとう。
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