人気コンビがおくる、新作クリスマス絵本
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絵本紹介
2023.06.20
ーー夏休みの宿題で最後まで残りがちな宿題は?
アプリ開発を手がける会社が2022年「夏休みの宿題について」小学生の子どもを持つ利用者約650人にアンケートをしたところ……一番多かったのは「読書感想文」。約43%の人が選んだのだそうです。思い返せば自分が子どもの頃も、夏休み宿題の大トリといえば自由研究と読書感想文の2トップ。いつの時代も読書感想文を書くことは、子どもにとってなかなかなハードルのようですね。
読書感想文は難しそう、でも本を読むこと自体への抵抗はないのでは?……小学校低学年・中学年の子どもたちを見ているとそう感じることがあります。大きめの文字や魅力的な挿絵、学校で学んだなじみのある話題や子ども自身が夢中になっていることがテーマの本。読むきっかけさえつかめたら、彼らは本の中に思いきり飛び込めそう。たとえば『先生、感想文、書けません!』なんて本に出会ったら……開かずにいられない!
本を通して心をゆすぶられる体験さえあれば、きっと読書感想文への扉は開かれるはず。今回おすすめする本、ぜひ子どもたちに手渡してみてください。
出版社からの内容紹介
お父さんが大活躍する現代のおとぎばなし。
あっくんのお父さんは夜遅くなってもなかなか帰ってこない日があります。そんな日はどこで何をしているのでしょう…?
大なまずに子守歌を歌ってあげようとするお話や、迷子の雷の子を空まで送り届けるお話など4篇からなる
オムニバスおはなし集。その語り口には、子どもへの優しいまなざしと愛情がぎゅっとつまっています。
小学館児童出版文化賞受賞作家、市川宣子の最新作です。
この書籍を作った人
『ケイゾウさんは四月がきらいです。』(さとうあや・絵/福音館書店)第56回小学館児童出版文化賞受賞『きのうの夜、おとうさんがおそく帰った、そのわけは……』(はたこうしろう・絵/ひさかたチャイルド)で第48回野間児童文芸賞受賞。『あまやどり』(陣崎草子・絵/文研出版)で第24回ひろすけ童話賞受賞。そのほかの絵本作品に『さいしゅうれっしゃのあとで』(柿本幸造・絵/ひさかたチャイルド)、『るいくんとおばけくん』(松成真理子・絵/小学館)、『きょうりゅうがすわっていた』(矢吹申彦・絵/福音館書店)ほか多数。
この書籍を作った人
兵庫県に生まれる。絵本作家、イラストレーター。絵本に「ショコラちゃん」シリーズ(講談社)、『ゆらゆらばしのうえで』『ことりのゆうびんやさん』(以上福音館書店)、『なつのいちにち』(偕成社)、『むしとりにいこうよ』『みちくさしようよ』(ほるぷ出版)『雪のかえりみち』(岩崎書店)、『はるにあえたよ』「クーとマーのおぼえるえほん」シリーズ(ポプラ社)、『ぼくはうちゅうじん』(アリス館)、『はじめてずかん どうぶつ(1)(2)』(コクヨS&T)、童話の絵に『きかせたがりやの魔女』『あしたあさってしあさって』などの作品がある。
出版社からの内容紹介
人魚と言ったら髪が金色で、甘くすんだ声で歌をうたうと思うでしょう? 勿論そうなのですが、中に一人だけ髪が赤くて、歌が苦手な人魚がいました。あまりにひどい歌声なので、いつもは皆と一緒に歌うことができません。ところが、ある日、大事件がおきそうになったのです。そして、歌のにがてな人魚のそのひどい歌声が、みんなを助けることになりました。苦手なことも素敵なことに変わります。
この書籍を作った人
〈1974年-〉東京都生まれ。学生時代を熊本で過ごし、卒業後、児童書版元に入社。その後、留学などを経て、子どもの本の翻訳に携わる。東京・阿佐ヶ谷で家庭文庫「このあの文庫」を主宰。祖父はトルストイ文学の翻訳家、故・北御門二郎。
出版社からの内容紹介
リトルリーグでいちばんチビのハロルドは、いつもベンチをあたためているだけ。
でも、シーズン最終戦で、ピンチヒッターとしてバッターボックスに立つと…!
この書籍を作った人
〈1904-1989年〉佐賀県生まれ。毎日新聞記者を経て、絵本・写真・バレエの研究・評論に活躍。ヘレン・バンナーマン『ちびくろ・さんぼ』をはじめ、シド・ホフ『ちびっこ大せんしゅ』(大日本図書)など、児童書の翻訳を多数手がけた。
出版社からの内容紹介
賢治がのこした一冊の手帖。
そのなかにあった言葉が、
多くの人々の心をゆさぶりつづけている。
闘病生活のさなかに賢治が書きとめられたその言葉は、
作品として書かれたものではなく、
賢治の「祈り」そのものだった・・・・・・。
※巻末に賢治の弟、清六の孫、宮沢和樹氏のエッセイ、
「雨ニモマケズ」手帖の画像を掲載。
▼「宮沢賢治の絵本」シリーズ
この書籍を作った人
1896年岩手県花巻市に生まれる。盛岡高等農林学校農芸化学科卒業。十代の頃から短歌を書き始め、その後、農業研究家、農村指導者として活動しつつ文芸の道を志ざし、詩・童話へとその領域を広げながら創作を続けた。生前に刊行された詩集に『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』がある。彼の作品の殆どは没後に高く評価され多数の作品が刊行された。また、何度も全集が刊行された。1933年に37歳で病没。主な作品に『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』『ポラーノの広場』『注文の多い料理店』『どんぐりと山猫』『よだかの星』『雪渡り』『やまなし』『セロひきのゴーシュ』他多数。
この書籍を作った人
1922年、東京生まれ。女子美術大学名誉教授。洋画家の父を持ち、東京大学で美術史を学ぶが、戦争で勉学が中断され、戦後、父の郷里である岡山県の倉敷にある大原美術館に勤務。そこで民藝運動を牽引する柳宗悦らと親交を持つようになった。その後、芹沢_介に師事し、型染めを手がける。布への型染めの他、さまざまな版画やガラス絵などの作品にも挑戦し、絵本やポスターの制作、装丁やイラストレーションなど幅広いジャンルで活躍。1958年に型染め壁紙がベルギーのブリュッセル万国博覧会で銅賞、1990年に第1回〈宮沢賢治賞〉を受賞。国内にとどまらず、2008年よりパリで個展を開催。2015年にフランス国立ギメ東洋美術館に多くの作品が収蔵された。絵本『魔法のことば』(エスキモーのことば 金関寿夫/訳 クラフトスペースわ)で1996年に〈子どもの宇宙国際図書賞〉を受賞。(同書は、2000年に福音館書店版が刊行された)『せんねんまんねん』(まど・みちお/詩 理論社)で2009年に〈産経児童出版文化賞美術賞〉を受賞。そのほかの絵本作品に『トコとグーグーとキキ』(村山亜土/作)『つきよのおんがくかい』(山下洋輔/作)『そしたら そしたら』(以上、福音館書店)、『雉女房』(村山亜土/作 文化出版局)、『ぜつぼうの濁点』(原田宗典/昨 教育画劇)など、多数。
みどころ
「だって、書けないんだもん。」
「わたしには、感想文、むり!」
夏休みの登校日に、どうどうと訴えているのは、三年生のみずか。
みずかは本が決して嫌いなわけではないのです。夏休みに入ってから、友だちのあかねちゃんと三回も市民図書館に行きました。でもみずかにとって感想文を書ける本がなかったのです。面白くなかったわけではありません。
「おもしろい本を読むと、むねがいっぱいになるの。
ああ、よかったなあ、おもしろかったなあって」
「先生、なんで感想文って書かなくちゃいけないの? わたし、本は読んでるし、ちゃんとおもしろかったよ。ああ、よかったぁだけじゃだめなの?」
ここまで読んで、ああ、わたしと同じ、ぼくと同じ、と共感する小学生がどれほどいることでしょう。みずかちゃんの言葉にそうそう、と強くうなずく子どもたちの顔が目に浮かぶようです。
そんな多くの子どもたちを代表するかのようなみずかの問いかけに、担任のえりか先生はどう答えるのでしょう? さらに、書きたい本が見つからないという悩みに対して、ある作戦を思いついたみずか。友だちのあかねちゃんと協力して遂行していきます。感想文を書く意義だけでなく、お話を想像して作っていく楽しさが伝わってくるところも本書の大きなみどころです。
お話を書かれたのは、児童文学作家の山本悦子さん。学校生活の中で起きる等身大の小学生の悩みや奮闘を描いたお話が特に素敵なのですが、『先生、しゅくだいわすれました』も読書感想文の時期にとても人気があります。こちらはその姉妹編とのことで、楽しい共通点が隠されています。ぜひ2冊を読み比べて探してみて下さいね。また、佐藤真紀子さんによる挿絵は、子どもたちひとりひとりの表情が豊かで元気いっぱい。今にも本から飛び出してきそうなほど生き生きとした子どもたちの姿が、お話をより盛り上げています。
感想文という苦手なものに対して、どう立ち向かい、どう納得していくのか。みずかちゃんの奮闘を通して、読む子どもたちもきっと感じることがさまざまあることでしょう。今年の感想文は、この本を題材にして、感想文についてあらたに知ったことや考えたことなどを書いてみる、というのもいかがでしょうか。
この書籍を作った人
愛知県生まれ。『神隠しの教室』(童心社)で第55回野間児童文芸賞受賞。主な作品に『先生、しゅくだいわすれました』『二年二組のたからばこ』『がっこうかっぱのイケノオイ』『くつ、かくしたのだあれ?』「ポケネコにゃんころりん」シリーズ(以上、童心社)『夜間中学へようこそ』(岩崎書店)『今、空に翼広げて』(講談社)など多数。日本児童文学者協会会員。
この書籍を作った人
1965年、東京都生まれ。作品に『いえでででんしゃ』『いえでででんしゃはこしょうちゅう?』『ねこじまくん』『風の森のユイ』(以上、新日本出版社)、「バッテリー」T〜Y(教育画劇)、『りんごの木』『いちばん星、みっけ!』(ポプラ社)、『なまくら』(講談社)など多数。
出版社からの内容紹介
あなたのなやみを解決する、高性能のマスクはいかが? ふしぎなピエロが売る「AIマスク」を手に入れた4人の小学生の運命は…? 4つのオムニバス・ストーリー。
この書籍を作った人
1972年生まれ。イラストレーター、絵本作家。NHK教育テレビ「英語であそぼ」内のショートアニメ『Yum. Yum. Yummy』のキャラクターデザインを手がける。絵本に『ゆきのひのチムニーちゃん』『おはなばたけのチムニーちゃん』(学習研究社)、『ありさんぽつぽつ』(主婦の友社)、『春はあけぼの』(文・清少納言/編・齋藤孝/ほるぷ出版)『チコちゃんこまったこまったね』『まいごのはちのぼうや』(ほるぷ出版)、挿し絵として『魔女とふしぎな指輪』『水曜日の魔女』『さかさま魔女』(フレーベル館)、『レッツらっくごー!わはは編』『レッツらっくごー!ぷぷぷ編』(小学館)などがある。東京都在住。
出版社からの内容紹介
『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』、『おうさまのまえでみぎむけーみぎ!』の柏原佳世子氏による環境問題をテーマにした絵本です。
だんだん世の中が暑くなることで、それに耐えられなくなってきたシロクマたち。シロクマたちが「どんなねがいもかなえてくれるどうぶつ」に助けを求めてやってくると、いろいろ便利な道具をおすすめされる。しかし道具にたよりすぎたことで、世界は冬になっても暑く、シロクマたちの体は工場の煙と日焼けでピンクになっていく。
わがままだけどにくめないユーモラスなシロクマと、クラシカルで美しい作画は、小学校低学年から大人まで楽しめます。
読書感想文にもぴったり。「環境問題」を考える第一歩としておすすめの絵本です。
出版社からの内容紹介
子ブタとシャーロットのかけがえのない友情を描いた児童文学の最高傑作!23ヵ国4500万読者に愛され続けるロングセラー。
この書籍を作った人
1912年アメリカ ニューヨーク生まれ。7歳のときにイギリスに移り住み、ロンドンのウェストミンスター美術学校、王立美術学校で学ぶ。1942年アメリカに帰り、ニューヨーカー誌での活躍をきっかけにさし絵と絵本の仕事に打ち込む。「大きな森の小さな家」「大草原の小さな家」(以上福音館書店刊)などの作品がある。1996年没。
この書籍を作った人
東京生まれ。出版社勤務を経て、翻訳家・編集となる。JBBY会長、「アフリカ子どもの本プロジェクト」代表。青山学院女子短期大学教授。著書に『エンザロ村のかまど』(福音館書店)、『どうしてアフリカ? どうして図書館?』(あかね書房)など。アフリカ系アメリカ人を主人公にした絵本の翻訳に『ローザ』『わたしには夢がある』『つぼつくりのデイブ』『かあさんをまつふゆ』『むこうがわのあのこ』『川のうた』『リンカーンとダグラス』(以上光村教育図書)、『ひとりひとりのやさしさ』(BL出版)、『きみたちにおくるうた』(明石書店)、『イライジャの天使』(晶文社)、『ふれ、ふれ、あめ!』『ぼくのものがたり あなたのものがたり』(以上岩崎書店)、『じゆうをめざして』(ほるぷ出版)などがある。翻訳で産経児童出版文化賞、日本絵本賞、ゲスナー賞などを受賞している。訳書に『ゆき』『シャーロットのおくりもの』(ともにあすなろ書房)、『くらやみのなかのゆめ』(小学館)、『ひとりひとりのやさしさ』『やくそく』(ともにBL出版)など多数。
出版社からの内容紹介
身も蓋もない言葉の中にだけ、
希望を見出せるときもある。
ヨシタケシンスケが描く
「人は何のために生きてるの?」の3つのお話。
『メメンとモリとちいさいおさら』
メメンが作ったお皿を割ってしまったモリ。
「世界にひとつしかないお皿なのに…」といつまでもクヨクヨしているモリに、
メメンは「大丈夫よ、また作ればいいんだから」と励まします。
『メメンとモリときたないゆきだるま』
夜のうちに降った雪。メメンとモリは次の日の晴れた朝、張り切ってゆきだるまをつくりました。
でも雪は足りず、晴れて溶けかかり、できあがってゆきだるまは想像していたものと違いました。
複雑な顔をしてゆきだるまを見つめるメメンとモリ。
でもゆきだるまは、そんなふたりの顔を冷静に見ていたのです。
『メメンとモリとつまんないえいが』
つまらない映画を見てしまったメメンとモリ。「時間を損しちゃったね」と話しているうちに、
モリは「みんなは楽しいことをしているのに、ぼくだけ損をしているみたい」と思いはじめます。
そんなモリにメメンは「いきものはべつに楽しむために生きているわけじゃないからね」と言うのですが…。
この書籍を作った人
1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。著書に、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(以上、講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、『ぼくのニセモノをつくるには』(ブロンズ新社)、『りゆうがあります』(PHP研究所)などがある。2児の父。
出版社からの内容紹介
カエルの視点から地球の環境を考えた、戸田幸四郎の創作絵本です。
池を追われ都会に逃げた2匹のカエル。高速道路やゴルフ場。
水たまりを求め、あらゆる場所に行ってみますが、安心できる居場所はありません。
2匹の運命はどうなるのでしょうか…。
“にんげんのわがままを、うちゅうのかみさまは、どうみているだろうか”
この本の最後に残されている言葉です。
自分たちだけの利便性を追求してきた人間への疑問と、これから考え行動すべきことを強く訴えます。
この書籍を作った人
(戸田幸四郎 1931年−2011年)山形県尾花沢市生まれ。都市計画から店舗デザイン、グラフィックまであらゆるデザインを仕事とする。51歳の時、デザイナーから絵本作家に転向。80歳で亡くなるまで42作品を発表。そのどれもがロングセラーとなる。絵はもちろん、ひらがなまで全てをデザインした『あいうえおえほん』は累計100万部を超え、日本の知育絵本の草分けと評されている。他にも宮沢賢治・太宰治などの文に重厚な絵を描いた名作絵本集や環境をテーマにした創作絵本集など出版。静岡県熱海市には自身が建築デザインから手がけた戸田幸四郎絵本美術館がある。
文:竹原雅子 編集:木村春子