●『うきわねこ』を出版されたブロンズ新社の若月眞知子編集長と編集者の沖本敦子さんにもお話を伺いました。
─── 『うきわねこ』は文章と絵の雰囲気がピッタリで、本当に呼吸のあった作品だと感じたのですが、元々どのような経緯でお二人に絵本をお願いしようと思ったんですか?
若月:牧野さんとは今から15年位前に知人の紹介で出会ったんです。彼女は京都から出てきたばかりで、これから絵を仕事にしていきたいと、何点か作品を持ってこられたんですね。絵を見て、「あ、才能のある人だな」って分かったので、ブロンズのブックデザインをお願いしている坂川栄治さんに紹介して、AD(アートディレクター)の立場から、牧野さんが独自の画風をつくるためのアドバイスをしてもらったのです。画材も、それまでは色鉛筆だったんですが、坂川さんのおすすめで、パステルに移行していきました。
牧野さんが独特な作風を創り出して、まもなく、挿画や雑誌の仕事をしはじめ、どんどん成長している様子を、坂川事務所に行くたびに見せてもらっていました。坂川さんとも「牧野さんの絵本を作りたいよね」と話し合っていたんです。
2006年、ボローニャのブックフェア会場で、記念すべき再会をします。牧野さんは「やはり絵本の仕事がしたい」とフェアを視察しにこられたのです。ブロンズのブースへ牧野さんが来られて、「じゃあ、やっぱりうちでやろうよ」と話が弾みました。
ちょうどうちに沖本が入社してきたのも同じ頃で、彼女は牧野さんの作品を以前から知っていて、「文章は蜂飼さんがいいですよ」って2人を出会わせてくれたんです。
沖本:お二人が一緒にお仕事をされたのは今回が初めてですが、蜂飼さんは牧野さんの絵をすごく丁寧に見て、牧野さんが描いたらさぞ美しいだろうと思うシーンがたくさん盛り込まれたお話を書き下ろしてくださいました。
同じように、牧野さんも蜂飼さんの作品をお読みになって、世界観が合うと最初から感じてらしたそうです。文章と絵の相乗効果で作品が良くなっていくのってこういうことか…と見ていてすごく楽しかったです。
─── そんな出会いがあったんですね。牧野さんは原画を上げるまでに随分苦労をされたと伺ったのですが…。
若月:牧野さんは装画の仕事では、原画を数倍の大きさで描いてこられたんですね。パステルで何層にも塗り重ねて、時間をかけて、とても緻密に仕上げていく…それが彼女の持ち味なんだけど、絵本で同じことをすると、とても巨大な原画になってしまうし、時間もかかりすぎて、しかも、静的すぎる絵になってしまう恐れがありました。「これは冒険の物語だから、冒険のダイナミズムを出すために、もっと手前で、描く手を止めては…」というのが私や沖本、坂川さんの意見でした。
でもパステル画を手前で止めるっていうのはすごく難しいんです。牧野さんのポリシーと逆行することを行う、その折り合いを付けるのに時間がかかったんだと思います。
しかし、牧野さんで絵本を作りたい、できれば最初の作品を作りたいという私達の野心はすごかった(笑)。
蜂飼さんもこんな素敵なテキストを描き下ろしてくださったし、奇跡のような本ができたと思っています!
(編集協力:木村春子)
<インフォメーション>
絵本『うきわねこ』原画展◆2011年10月6日(木)〜11月2日(水)
◆ブックハウス神保町 【TEL:03-3261-5691】 11時〜18時30分(最終日は17時まで) 定休日:水曜日(11月2日は営業します)
◆入場無料
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