●見えない部分が作品を作っているうちにわかったり(川本真琴)
荒井:完璧に読者に近づこうっていう作業をしなくてもいいよ。読者がこっちについてこいっていうくらいで(笑)。僕はもっともっとこういうのがほしい(笑)。本道は本道で、でも私が、僕が絵本を書くとこうなるよってなってほしい。全員が定番化した絵本の世界を望んでいるかといったらそうではないと僕は思うし、必ずこういうのが好きな人がいるだろうと思って僕は書いてる。そういうことを言うと、“売れないじゃないですか荒井さん!”って言われるんだけど(笑)僕の好きなエドワード・ゴーリーの『不幸な子供』っていう絵本は本当に不幸なの。読んでいるほうはいつかどこかで助かるんだろうなって思ってるんですけど、ものすごい不幸で終わっちゃうんだよね。すごくおすすめですよ。読んでいるうちに色々なことを想像しちゃってね。
─── でも、そういう人の人生がそのまま絵に詰まった本の方が伝わるんですよね。
川本:やっぱり私も表面的に見える部分じゃないところで動いてるかもしれないですかね。その見えない部分が作品を作っているうちにわかったりだとか。そうじゃないものは、別にこれは出さなくてもいいかってなっちゃう。
─── なにかの本質を抽出したものが作品になるということですね。ぜひまた川本さんにも絵本書いていただきたいですし、荒井さんとも機会があればご一緒させていただきたですね。
川本:そうですね!
荒井:遊びますよ。ワークショップでもやりましょう!