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《スペシャルコンテンツ》制作日記

2013.09.05

山形明美さん
さがしもの写真絵本『どこ?』のひみつ

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2013.09.05

その5 道でも川でもたどれるめいろ

「どこ?」のジオラマはいつも、およそ1m四方におさまるくらいのサイズで作っています。前回レポートした「切り株のめいろ」は幅約60cm。前々回にレポートした「砂のめいろ」は幅約1m。どうしてこのくらいのサイズで作るかというと、自宅の机の上で作るのにちょうどよい大きさだからです。(これまでの「どこ?」では、2mにおよぶ巨大なジオラマを作ったこともありますが!)ただし、たとえ作品のサイズは同じだったとしても、部屋の中を作っているときは部屋の中にいる気分に、大自然を作っているときは開放感にひたっておおらかな気分になったりするんですよ!
さて、今回着手しはじめたのは、壮大な「地形のめいろ」です。


▲ラフを描いてみました。左下がスタートで右上がゴールです。

今回のめいろには、これまでにない特徴があります。「道でも川でもどちらでもたどれるめいろ」なのです。ふつう「めいろ」と言えば、スタートからゴールまでひとつの経路しかありません。
でも、人生いろいろ、めいろもいろいろ。道をたどるときもあれば、川をくだることもあります。どちらの道のりをたどっても、ゴールにたどり着ければよいのです!
まずは土台となる1m四方の厚めの発泡スチロール板に、ラフの絵をうつします。このジオラマは、地形を表現しなければならないので、凹凸も必要です。


▲茶色の線が道で、青い線が川です。

できあがったときの全体の色バランスも考えていきます。川はやはり青、地面は鮮やかな緑、となると道は黄色かな? という具合にです。
深く削った川には、青い絵の具とジェルを塗り重ねます。乾ききらないうちに、表面を筆でこすると波模様ができます。浅く削った道には、黄色い絵の具を塗った後、黄色っぽい砂をまぶして、表面の表情をつけます。地面の緑の部分は、緑の絵の具を塗った後に、やはり乾かないうちに緑の細かい粉をふりかると、表面にざらつきが出ます。
この表面のざらつきというのが重要で、撮影時、照明をあてるとちいさな影が生まれて風合いが出るのです。発泡スチロールで形づくった山や丘を置いていくと、全体の立体感が出てきます。


▲地形のでこぼこがわかりますか?

ここまでくれば、あとは、川に橋をかけたり、家を建てたり、木を植えたり、ボートを浮かべたり……。ちょっとへんてこなものも配置してしまいましょう。かぼちゃやアスパラガス、プリン、ホットドッグも!


▲完成しました!

さてさて、我が家には、文鳥の「ぶんちゃん」がいるのですが、その「ぶんちゃん」は、私がジオラマを作っていると、遊びに飛んでくるものの、ぜったいに(噛んで)傷つけたり、壊したりたりしません。そっと近づいて、ちょっとつついて確認する程度です。


▲「ぶんちゃん」君臨!

10月の刊行まで、もう時間がなくなってきました。さあ、どうしましょう? つぎのジオラマにすぐに取りかからなくては! 次回は、私の大好きなお裁縫を取り入れた「めいろ」を作ろうと思っています。また見にきてくださいね。どうぞお楽しみに!

(山形明美)

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山形 明美【やまがた あけみ】

  • 静岡県生まれ。造形作家。
  • おもに幼児雑誌などの、人形・ぬいぐるみやジオラマ製作を手がけている。
  • おもな作品に、『どこ? つきよのばんのさがしもの』『どこ? もりのなかのさがしもの』『どこ? とびらのむこうのさがしもの』『どこ? ふしぎなまちのさがしもの』『どこ? ながいたびのさがしもの』がある。

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