「南米ペルーのアマゾンの森奥深くに、ひっそりと暮らすマチゲンガ族がいます。ぼくが初めて彼らに会ったのは、1973年6月のことです。何日もかけて川をさかのぼり、森を抜け、やっと着いた山の頂上に、小さな家が3軒、建っていました」 それは木の皮のロープで骨組みが固定され、草や葉でていねいに屋根を葺いてある家でした。周囲にバナナ、ユカイモ、サトイモなどが混ぜて植えられた畑もあります。
のちに「グレートジャーニー」(人類の足跡を逆からたどる旅)を踏破し、テレビ放映されることになる探検家・関野吉晴さん、まだ20歳代のときの出会いでした。 関野さんはアマゾンの先住民、マチゲンガ族の家に居候させてもらい、いっしょに生活しながら、アマゾンで生きる技を知っていったのでしょう。本書には、マチゲンガ族の食事、おしゃれ、草でかごや敷物を編むところ、土器を焼く様子、狩りのための矢を作っているところ(魚や鳥を射る矢は、かたいヤシの幹で作る)、ときにはバクなどの大型動物をしとめ、肉を燻製にする様子などが写真ではっきりとうつっています。インコ、亀、ヨザルなどペットもいるんですよ! シャイであまりしゃべらないと思われたマチゲンガ族でしたが、仲良くなるととくに男たちは話し好きだということがわかります。大型動物の肉を食べるときの食事はにぎやかになり、肉や魚が少ないときの食卓は静か。子どもたちをはじめ人々の姿が生き生きとして愛らしいです。 マチゲンガ族の家族と出会って40年。5世代に渡るつきあいはつづき、小さかった少年少女が親になり祖父母になるほどの時間が流れました。本書は、その間カメラを向けつづけてきた作者の思い、マチゲンガ族の変化も見ることができる写真絵本です。
同作者のシリーズ「地球ものがたり」の一冊。ほかに『海のうえに暮らす』『極北の大地に住む』などがありますが、とりわけ『インカの村に生きる』のケロ村も、マチゲンガ族のアマゾンも、同じペルー国内であることに驚かされます。
『熱帯の森の家族』マチゲンガ族の暮らしは、すべての物を自然から生み出し、自然に返す暮らしです。 日頃の私たちの生活からはまったく想像もつかない、熱帯雨林の生活を見て、子どもたちは「不便でいやだ!」と感じるでしょうか。それとも「自分の手でいろんなことができてすごい!」と思うでしょうか。(ちなみに本は総ルビなので、ひらがなが読める子なら何歳からでも読めます!) 本当に必要なものは、案外多くありません。それを知ることができるだけでも、素晴らしいことじゃないかと思える、貴重な写真絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
関野吉晴氏が40年にわたって交流を続ける、アマゾン・マチゲンガ族の家族。危険に満ちた熱帯雨林に、どのように適応して暮らしているのでしょうか。ある一家の40年を、多数の写真とともに紹介します。
関野さんの「グレートジャーニー」と言ったら、やはりこのアマゾンのジャングルで暮らす人々は欠かすことのできない基点の一つではないでしょうか。
着ているものは腰布一枚だけ。
テントのような掘立小屋にたくさんの家族が集まって暮らしています。
本編の「グレートジャーニー」も何冊か読んでいましたが、このマチゲンカ族で飼われているペットを見たのは、多分初めてです!!
いや〜っ、アマゾンの中でなら、普通に生きているであろう色彩豊かなコンゴウインコやナマケモノ、オウギシワシ、リクガメ、イノシシに似た「ペッカリー」という動物。
最初に犬も紹介されていますが、他があまりにすごいので霞んでしまいます。
オオギワシに至っては、日本でも赤ちゃんを包むのではやっている抱っこ布みたいなものに含まれて抱っこしているんですよ〜。ワシなのに超かわいいし、懐いてるみたいだし。もう、びっくりです。
動物好きにはたまらないかと思います。
生きるために普通に狩猟しているシーンや、採取した生きものを調理しているシーンもありますが、写っている彼らがあまりにも自然体なので、全くえぐさは感じません。
すごく面白いです。今年の読書月間は高学年の担当が決まっているし、この本をブックトークで使おうかな〜と、考え中です。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子15歳)
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