新学期。アメリカ・コネティカット州のスノウヒル小学校で、5年生になった7人は、1人の新米先生と出会う。「学校はきらいだ」「サボったってバレやしない」「ママが親友。友だちなんていらない」。そう思っていたぼくたちは、テラプト先生のユニークな授業で少しずつ変わっていく。しかし、学校が楽しい場所になりつつあった矢先、すべてを変えてしまう事件が起こった――。
描かれているのは、子どもの人生を変えるすばらしい先生――だれもが「こんな先生がいたらなあ」と思うような先生なのです。(中略)このすばらしい物語がどんな結末を迎えるかを知ることができるのは、最後まで読んだあなただけなのです。 作家 ジョン・アーヴィング
今、日本の学校では当たり前にいじめが存在したり、登校拒否をする子どももどの学校に普通にいる時代になってしまいました。
うちの子どもが通っている学校にも、「学校に来ない」ことを選択している子どもたちが各学年に数人います。
さて、この作品は実際にアメリカのコネティカット州やマサチューセッツ州の小学校で教師をしていた作者が、教師として読み聞かせをしているうちに、自分が読み手であり書き手であることが必要だとい感じて(後書き抜粋)書き始めたのが、きっかけだったようです。
作者自身レスリングを指導しているとのことで、主人公(?)のテラプト先生のモデルは作者自身かもしれません。
この物語の中には、実に今どきの子どもたちが何人も登場します。
1人1人は決して悪い子ではありませんが、集団の中でどうしても規律を守れなかったり、独りよがりな態度でしか友達と接することができなかったり、親の離婚で転校してきた子や未婚の母を持つお子さんもいて、
それぞれの子ども達が、それぞれの自分の問題と向き合いつつ、学校という集団の中で生活していく状況がとてもよく描かれていました。
クラスの何人かの子どもたちの目線から新任の教師「テラプト先生」が語られ、物語は進んでいきます。
途中大きな事件は起こってしまうものの、最後は明るい終わり方で、今問題のあるたくさんの学校にテラプト先生みたいな教師がいてくれたら、子どもたちはどんなに学校が好きになるだろうと、思わずにはいられませんでした。
小学校の高学年から中高生にブックトークしたい1冊です。
ちなみに、
クラスの主な子どもたちにはこんな子たちがいました。
・ピーター…いたずら好き。面白いことが大好きで、やりすぎてしまうところがある。
・ジェシカ…親の離婚でカリフォルニアから転校してきた本好きのまじめな子。
・ルーク…プライドの高い優等生。誰より自分ができる人でありたい。
・アレクシア…クラスの女ボス。でも実は…。
・ジェフリー…学校嫌いの人間嫌い、普段は無口でひどく不機嫌。ダウン症で白血病だった大好きな兄が2年前に死んでしまい、家族の気持ちがバラバラになっている状態。
・ダニエル…太っていることでアレクシア(レクシー)にいじめられることはあるけど、常に前向きで優しい女の子。
・アンナ…おとなしくて目立つのが嫌い。ジェシカが転校してきたことで、少しずつ自分を外に出せるようになる。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子13歳)
|