第一巻「弟子」につづく、アラルエン戦記シリーズ、第二弾。 アラルエン王国への復習をもくろむ、宿敵モルガラス。人ならぬ存在をあやつる、不気味なモルガラスとの決戦のため、隣国への使節となった主人公のレンジャー見習い少年ウィルと、友人のホラス。先輩レンジャーのギランとともに、国境へ向かいます。 しかしなぜか国境はからっぽ。国境警備兵も、村人も突然いなくなってしまった土地で、ひとりの少女と出会うことになります。その少女はエヴァンリンと名乗りますが、なぜ少女がそこにいたのか? 少女だけが生き残ったのはなぜか? 本当のことをすべて話しているのか? はっきり分からないままに、旅の道連れとなります。 国境の村々が襲撃されているらしいことを至急国王に知らせるためギランは先に出発し、ウィル、ホラス、エヴァンリンの少年少女3人が残されます。しかし谷間にかかる建造中の巨大な橋を見て、敵のおそるべき計画を知った3人が選んだ道は……?
王国の命運を握る情報をつかんだウィルでしたが、状況が刻々と動くなか、どういう判断をすればいいのかの選択を迫られます。 タイトルの「炎橋」のとおり、橋が燃え上がる場面はぞくぞくする緊張で、一触即発の場面。いままさに逃げようとするその瞬間に、敵はせまり、橋は落ちかけ、命をねらわれ、絶体絶命の状況になります。少年たちの勇気だけでなく、なぞの多い少女、エヴァンリンの勇気が描かれる場面は見どころ! いつものように恩師ホールトや先輩レンジャーの意見を聞けない、けれど判断ミスが命にかかわる状況のまっただなかで、ウィルはどう判断しふるまうのか。試される瞬間がいくつもやってきます。ウィルの精神的な成長とともに、剣の才能の片鱗を見せはじめたホラスの成長も描かれます。
ウィル、ホラス、エヴァンリンの間に芽生える信頼関係と友情、そして敵のなかでもどうやら北方から来たらしい数人の屈強なスカンディア人がウィルの前に立ちはだかりますが、いったいスカンディア人はウィルたちをどうするつもりなのか。それが3巻の「氷賊」へとつながっていきます。
いざというときの勇気を試される、ドキドキの第2巻! 宿敵モルガラスとの決着はつくのか。ウィルもホラスも茫然自失するくらい、自分の中から勇気を絞り出さなければいけない局面がやってきます。 今後の物語のなかで最重要人物の一人となっていく少女、エヴァンリンの登場にも注目です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
宿敵モルガラスとの決戦のため、隣国への使節となったウィルとホラスは、ひとりの少女と出会う。おそるべき計画を知った3人が選んだ道は? 信じることの強さを描く第2弾!
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