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まっ赤な顔に高い鼻。手に羽根うちわと望遠鏡。空を自由に飛びまわるテング。テングの暮らしや仕事、道具、社会・・・カラス天狗と大天狗の知られざる秘密など。 ヒサクニヒコの新説で、テングのすべてが発見されました。
日本に住む天狗の種類、生活の仕方、いなくなった理由などを解説する絵本。
カラス天狗と大天狗が山奥で暮らしている様子が、ユーモラスに描かれている。妖怪関係の絵本だが、ほっこりする温かい雰囲気だ。
人間に農業などを教えたのは天狗なのに、人間のほうが上手に作業をするようになったため、天狗は人間の作物を失敬するようになった、という。筆者は、鉄砲が人間社会に出現するようになってから、天狗が暮らしにくくなって、消えていったという。
新しい技術や社会の変化によって、古いものが駆逐されていく。
現在の社会も、新しい技術(パソコンやIT、通信など)が普及するにつれて、社会が激変し、それらの道具を使いこなせない人が社会の隅に追いやられていくようだ。
しかし、旧式だからといって必ず絶滅したわけでもなく、新しい技術が全面的に優れているとも言えないところもある。
世の中の流れが大きく変わっていくのに、ついていけずに絶滅したとこの本の中では言われている天狗の姿に、自分自身を、あるいは知り合いを重ねて見る大人も少なくないのでは?
単に面白い漫画のようなものだと読んでもいいが、作者のメッセージをいくつか拾って深読みすると、いろんなことを考えさせられる本だ。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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