「阿梅よ、そなたに、弟妹たちの命をたくすのだ。 そして、わが家系をふたたび世に出すことをたくすのだ。 ちかってくれ。かならずや、みなで生きのびると!」 大坂城落城が迫るなか、死を覚悟した父・真田幸村が娘の阿梅に伝えたのは、子どもたちを敵の武将の元へ逃すという秘策でした。その時から、娘、阿梅の戦いが始まったのです。
戦国武将の中でも人気が高く、現代に至るまで広く愛されている人物ですが、大坂城落城で散ったその後の物語をご存知でしょうか? 本書は、幸村の遺志を継ぎ「真田」の血と名を守った、三女阿梅の物語です。女性の視点から、戦国時代の末期〜江戸時代の前期にかけての時代を描いた本書で、徳川側の正史とはまた異なる状況を知ると、歴史の面白さに気づかされます。「誇り」と「義」を胸に、乱世を生き抜いていった、阿梅の成長も見どころの一つです。
|