野生のガからとれる緑色の美しい絹!
生きものと人とのつながりを美しい写真と平易な文章で解説する「ふれあい写真えほん」。本書は、里山に生息する大きなガ、ヤママユの生態を紹介します。繭からは緑色の絹がとれる野生の蚕です。
本書は、昆虫の多様で不思議な生態を掘り下げ独自の視点で撮影してきた新開孝氏が、里山に生息するヤママユと人とのつながりを紹介するものです。ヤママユという巨大なガは一見グロテスクですが、その繭からはカイコに劣らない絹がとれ、人は昔からそれを利用してきました。このことから、カイコを家蚕と呼ぶのに対し、ヤママユは天蚕や野蚕と呼ばれます。ヤママユの孵化から幼虫の生活、繭をつくってさなぎになり、羽化して成虫になる瞬間までを紹介するとともに、ヤママユの繭から生糸を作る工程も見てみます。また、里山にくらすそのほかの生きものも併せて紹介します。身近に生息するガから絹がとれるということは、読者にとって新鮮な驚きでしょう。生きものと人の深いつながりが実感できる1冊です。
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