小学6年生の主人公には、無類の花好きの祖母がいます。ある日、祖母がたおれた知らせを受け、病院にかけつけた主人公は、不思議な夢を見ます。夢の中で主人公は、昭和18年の祖母・静江の少女時代を追体験することに。
戦時下の生活は、平和な現代日本に生きる主人公にとっておどろくことばかりでした。特に、出征していく父が「灯火管制の暗い夜でも、ユウガオの花あかりを目印に帰ってくる」と語った言葉は、静江の心に深くひびきます。ところが、父のいない家族を待っていたのは、食糧以外の作物をそだてることを禁じる「花禁止令」でした。隣組から非難を受けながらも、静江一家は肩を寄せあって懸命に父との約束の花を守ろうとします。そして、京都の田舎町にも空襲の影が近づいてきます……。 70年後の現実に目覚め、はじめて知る家族の歴史と祖母の過去。最後に主人公が見出した、祖母からもらった名前の意味とは? 花禁止令や京都空襲など、いまだ知られざる史実に光をあてたあたらしい物語を、人気児童文学作家がみずみずしい感性で、現代の読者たちにおくります。
子ども達に紹介する戦争モノの本を探していたので、読んでみました。
ファンタジーなのですが、本当にあったことのように感じ、最後のページを読み終わったときには涙が出てきました。
第二次世界大戦中、花を植えること自体が日本で禁止されていたなんて、知りませんでした。
主人公の花にはおばあちゃんがいます。そのおばあちゃんは、花を育てることが大好きな人です。おばあちゃんが子供のころの戦時中に体験したことを、花は眠っている間に夢の中で体験します。
その体験を通じて、おばあちゃんがどうして花を育てることが大好きなのかを知ることになります。そんな過去があったなんて・・・
物語としてとてもよくできていますし、その出来事が、当時(第二次世界大戦中)の時代背景をしっかり絵がいているところも魅力的です。内容が重すぎないけれど、消して軽いのではなく、大切なことはちゃんと伝わってきます。
ノンフィクションはあまり好きではないけれど、物語は大好きな子、特にファンタジーが好きな子に、手渡したい本です。 (MAYUCLUBさん 40代・ママ 男の子11歳、女の子6歳)
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