アイヌ語を命がけで残した一人の少女の生涯
アイヌ語を初めて書き表し19歳という若さでこの世を去った、アイヌの天才少女・知里幸恵のドラマチックな人生をたどる。また同時に、アイヌという先住民族の歴史や文化、信仰観などを立体的に紹介する。
アイヌは北海道をはじめ、樺太や北方四島に住んでいた日本の先住民族である。豊かな自然に育まれた狩猟採集の民であり、歌や踊りに秀でた、独特の文化を持つ民族であった。だが、明治期に入って日本政府が北海道を開拓し始めると、様相が変わってくる。アイヌは住んでいた土地を追い払われ、いわゆる「同化政策」によって日本人化させられるに至ったのだ。アイヌは言葉を持ってはいたが、文字は持たなかった。日本語教育によって、徐々にアイヌ語を話せない人々も出てきた。アイヌ語という民族の精神的な拠り所すら失われつつあったのだ。そんな中、アイヌの少女・知里幸恵とアイヌ語研究者・金田一京助の運命的な出会いが訪れる。生来聡明であり、偉大な語り部を祖母に持つ幸恵は、アイヌ語と日本語を巧みに操れる唯一無二の存在だった。そして幸恵は金田一とともに、一生をかけた大事業に取りかかる。『アイヌ神謡集』である。
豊かな土地に暮らし、深い文化を持っているのに、文字を持たないというだけで格下に見られて虐げられたアイヌの人達。
それでもアイヌの文化に興味を持ってくれた金田一先生を通じて、自分達の文化を見つめ直し、形にしようと尽力した知里幸恵さん。
この本を読んで初めて知りましたが、命を懸けて努力し続ける姿が本当に素晴らしいと思いました。
(hime59153さん 50代・ママ 男の子12歳)
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