小学五年生の秋、なぜか学校へ行けなくなった繭。
ある日、電柱や塀に描かれた矢印をたどって行くと、<日曜日舎>にたどり着いた。ここは、日曜日にしか生きられない人々の集まるスケッチクラブ。猫と一緒のおばあさんや、羽の音を立ててやってくる少年、しゃべる陶器の人形たちが集う。動く剥製の狐もいるし、時間の狂った柱時計もある。ちぐはぐな空間だ。この店の奥には、スケッチルームがあり、彼らはここで「自分を通して見た世界」を絵にする。
繭はこの<日曜日舎>に通うことにし、しだいに生きるすべを見つけていく……。
目次 <第1日曜日>矢じるしをたどると/日曜日だけのスケッチクラブ/暗い暗い夜 <第2日曜日>スケッチがはじまる/川とおしゃべり/忘れ物、それから名前 <第3日曜日>雨がくる/繭のパレット/水の絵の具 <第4日曜日>悪天候スケッチ/時計の狂い <最終日曜日>琥珀の蝶/星夜の作品展/羽化
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