「赤羽末吉の名作絵本」復刊第3弾! シカの目のように優しい少女の運命を描いた幽美な絵本。
『なきたろう』『ひょうたんめん』で好評を博した赤羽末吉の復刊絵本、第3弾です。 作は『銀色ラッコのなみだ』や「森のネズミたち」シリーズ等々、幼年童話や児童文学作家として数多くの名作を生み出している岡野薫子。
ある日、北の山に住む仙人は、谷川のそばでシカに見守られながら泣いている女の赤ん坊をひろう。仙人は、その子を大切に育て、やがて赤ん坊はきれいな大きな目をした可愛い女の子になった。 不思議なことに、その子が足から血を流して歩くと、その跡にはハスの花が咲くという。 ある日、その評判を聞いた若殿さまが、女の子を訪ねてくる。ひと目見て女の子を気に入った若殿さまは、女の子を館に連れ帰ると、その子を見た誰もが優しい気持ちになるのだった。 ところが、ある日、若殿は大殿さまの言いつけでシカ狩りに行くことになり、それを聞いた女の子は、若殿を悲しい目でみつめた。 シカ狩りで若殿がシカの足を射た頃、女の子はハスの花のつぼみを残して姿を消すのだった。女の子はどこへ消えてしまったのか。残したつぼみを池に浮かべると…。
赤羽末吉の墨絵が美しい「和」の絵本。幽玄の美が再び甦ります。
赤羽末吉さんの描く「シカの童女」に惹かれて、図書館から
借りてきました。仙人は、近くで1頭のシカが心配そうにたって
見守る女の赤ん坊を拾ってきて、大事に育てた。
女の子は、綺麗な目をした可愛い女の子になったけれど、一言
も口を聞かなかった。女の子が、裸足で歩く足から血が流れ、
女の子の足跡から水が沸いてぽっかりと蓮の花が咲いた。
一足毎に、踏み後から蓮の花が咲いた。
仙人が、岩の上に女の子がたって懐かしそうに見ているので、
「おまえは・・・・・・」そういいかけると、女の子の姿は、シカになっ
て、岩を跳ねたかと思うと林の中へ消えてしまった。
とても不思議な光景を想像して読み終えてもいつまでも呆然と
した私でした。 (押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
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