いつか見つかるだろうか、私の、私だけの。
祖母の法要の日、一堂に会した親戚たち。 同棲していた恋人から家を追い出され、突然実家に帰ってきた娘、梓。 元体育教師、「実行」を何よりも尊びながら、不遇な子供時代にこだわる母、祥子。 孤独を愛するが、3人の崇拝者に生活を乱される大叔母、道世。 死ぬまで自分が損しているという気持ちを抑えられなかった祖母、照。 そして、何年も音信不通の伯父、博和。 今は赤の他人のように分かり合えなくても、同じ家に暮らした記憶と共有する秘密がある。 3世代にわたる一族を描き出す、連作短編集。
【著者略歴】 1983年埼玉県生まれ。筑波大学図書館情報専門群卒業。2005年、「窓の灯」で文藝賞を受賞し、デビュー。07年「ひとり日和」で芥川賞、09年「かけら」で川端康成文学賞を最年少で受賞。2019年4月現在、東海大学の文芸創作学科で教鞭を取っている。他の著書に、『やさしいため息』『わたしの彼氏』『快楽』『めぐり糸』『繭』『ハッチとマーロウ』『ブルーハワイ』など。
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