ワルシャワ市クロフマルナ通り92番地、孤児院“ドム・シェロト”。かつて、ここにはドクトル先生と呼ばれたコルチャック先生、ステファ先生、そして200人の子どもたちが暮らしていました。200人の子どもたちの中には、この本の主人公であるブルムカをはじめ、銀色の魚の命を救ったジグムシ、まるで真っ暗な夜に明かりを灯すように上手にお話をしたレギンカ、自分の耳の中でえんどう豆を育てたポーラ、アリをいじめて“子ども裁判”にかけられたハイメク、ほうろうのおまるで石炭運びをした毛布ちゃんがいました。そしてネズミも住んでいて、いつも用意してもらった餌を食べていました。そんなこと全部をブルムカは日記に書きました。なんて書いていいのか言葉がみつからないときには、絵をかきました。でも、ある日、戦争が始まってしまいました…著者は、言葉と絵の中で事実とフィクションを結びつけることによって、その子どもたちに生き生きとした表情を与えています。
コルチャック先生の名前を園の保護者会で耳にして手に取りました。
前情報はなにもないまま読みはじめ、その静かで丁寧な色使いの中にある、ただならぬ空気を感じずにはいられませんでした。
装画に使われている素材は素朴ながら、重ねなられた鉛筆の線はどこまでも繊細。ブルムカから見る一人一人の子どもたちは、とても子どもらしく、夢中でやんちゃで、そこにただ生きていました。
そのことが、より。
その瞬間以降の、その、未来に悔やみきれない想いを抱かせてしまいます。
今またこれと同じことが起きていて
そこにまた子どもたちが。と、思うと。本を閉じることすらに意味をもたせてしまいそうになります。 (朝枝ナオさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子3歳)
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