ねこのポポとおもちゃのロボくんをツナミから守ってくれたのは、海辺に一本だけ残った「わらう木」と呼ばれる木。だけど「わらう木」は今にも倒れそうなのです。
ポポとロボくんが起こそうとするけれど、びくともしません。困っていると、どこからかやって来たのはピョンピョンうさぎや、つっかえ棒を持ったノラ、それに縄を持ったブータさんやふくろうのフクさん。となり村のおばばも。それぞれがバラバラと「わらう木」のもとに集まっきたのです。
そうして、みんなで「わらう木」を起こそうとしていると、やがてゆうれんさんたちもたくさん集まってきて……いつの間にか大賑わい。そして嬉しい事が起きるのです。
これは「きせき」のなのか、「あい」なのか。ひとつわかっているのは、みんながひとりじゃないっていうこと。ポポも、ロボくんも、ひとりぼっちじゃないよっていうことです。
「こういうふしぎは いいもんだ」
本当だね、ノラくん。
自分では抱えきれないほどの深い哀しみを背負ってしまった時、そしてそういう人たちに出会った時。私たちは何をしたらいいのかわからなくなってまうのです。そうやってひとりぼっちになっていってしまうのです。でも、小さな思いが集まった時、みんなで何か共通の思いが持てたとき、はじめて目指すところが見えてくるのかもしれません。それが例えささやかなものだっとしても、その存在は大きいですよね。「わらう木」のように…。
東日本大震災で倒されなかった奇跡の松の木を主人公に、司修さんが時間をかけ、思いをあたため続け、完成させた絵本です。少し不思議なこのお話、そこには幼い子どもたちへ寄りそう強い気持ちが込められています。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ツナミにおそわれて、海辺に1本だけのこった「わらう木」。木と一緒に生き残ったポポたちは、傾いた「わらう木」を起こそうとしますがびくともしません。やがて、つっかえ棒をもったノラや、縄を持ったブータさんたちが三々五々やって来てみんなで起こそうとしていると、ゆうれいさんたちも集まってきて……。
編集者コメント 人は、それぞれが抱える哀しみが深いほど、ひとりぼっちになりがちです。そんなときに一人一人の小さな思いが集まって小さなキセキが起きたら……そんな思いで紡がれたささやかな物語です。
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