西洋音楽史の常識を覆す、衝撃の真実! モーツァルトは二度「殺された」。
●内容説明 今日、「アマデウス」と言えば、多くの音楽ファンが、夭逝した18世紀の天才作曲家・モーツァルトのことを思い浮かべるだろう。 しかし当の本人は、生前「アマデウス」と呼ばれたことも、名乗ったことも、まして署名などしたこともなかった。 嘘だと思うなら、本書をご一読いただきたい。 モーツァルトは、ある時期から自筆の楽譜に「アマデーオ」と、書簡の類には「アマデ」とサインし、その名を死ぬまで大切に使い続けた。 それはなぜか。なぜなら、それはモーツァルトにとって唯一の宝であり、自身を支える矜持だったからだ。 にもかかわらず、生涯大切にした最愛の名前を、死後、誰が何のためにモーツァルトから引き剥がし、似て非なる「アマデウス」に改竄してしまったのか……。 著者は、不遇のうちに35年の短い生涯を終えた天才の渇望と苦悩に寄り添いながら、その謎を解き明かしていく。 さらに、返す刀で西洋音楽史の欺瞞にも切り込んでいく。
●目次 序曲 名前の話 第1章 親からもらった名前 第2章 ヴォルフガングとアマデーウス・モーツアルト的 第3章 悪夢への前奏曲 第4章 悪夢のドラマ 間奏曲 第1《バスティアンとバスティエンヌ》の怪/第2 ジュゼッペ・アフリージョ 第5章 イタリアの陽光 第6章 アマデーオ降誕 第7章 ドラマの終わり 第8章 ウィーンの亡霊たち──陰謀・噂 第9章 モーツァルトの死 第10章 ドイツ語圏に家がない フィナーレ アマデーオ、孤高の王国 アンコール だれがアマデウスを作ったか あとがき 蛇足 巻末付録 モーツァルトの生涯の署名一覧(作品における署名/手紙における署名)
●著者プロフィール 石井 宏(いしい・ひろし) 1930年、東京生まれ。音楽評論家、作家、翻訳家。東京大学文学部美学科および仏文科卒。 主な著書に、山本七平賞を受賞した『反音楽史 さらば、ベートーヴェン』をはじめ『素顔のモーツァルト』、『誰がヴァイオリンを殺したか』、『帝王から音楽マフィアまで』、『ベートーヴェンとベートホーフェン 神話の終り』、『チョッちゃん』、『ホタル帰る 特攻隊員と母トメと娘礼子』(共著)などのほか、主な翻訳書に『モーツァルト』、『モーツァルトのオペラ』、『グスタフ・マーラー 愛と苦悩の回想』、『モーツァルト 音楽における天才の役割』など。
|