「鉛筆を両側から削ると、両親が死ぬ」 「手のひらがかゆくなるのはお金持ちになる印である」 「家の中で切った爪を捨てると病気になる」 ――俗信を理解することは、その国や地域の人々を理解する近道ともいえる。
著者がフィールドワークを通して収集したイランの俗信を、民俗学的観点から比較、分析、整理する。「〜するとよいことが起きる」「〜してはいけない」「〜すると・・・が起きる」など、口承しやすい単純な構造をもつ俗信は、言語、文化、民族を超えて共感される、幸福を追求するという普遍的な本質を持っている。俗信を通して見えてきた、「イスラム教の国」にとどまらない多面的な宗教観、生命観をもつイランの姿とは。
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