大阪のある中学では,2割の生徒の家庭が生活保護を,6割が就学援助を受けているという.学校へ行けるならまだいい,経済的理由で進学できなかったり,中退する生徒も各地で急増している.家庭の貧困は子どもの将来に重大な影響をおよぼしていく.その実態,国・自治体や民間の対策を見つめてみよう.
■内容紹介 この本を書くために,生田さんは「貧困」にかかわる多くの人にインタビューをしてきました.地元の大阪市西成区の先生,東京都西部で子どものための炊き出し活動をしている人,九州でピアノ講師をしている若い人,夫からDVを受けて子ども二人を連れて家を出た女性,脳性マヒによる四肢障害をもつ人など.それらの一部が本の中に出てきますが,やはり生の声だけに強く印象に残ります. ――人間て信用できへん状況とかあるし,私らも自分のことでも自信ないけれど,「そうじゃない.人ってひょっとしたら信用できるかな」みたいな思いがあれば,生きていけるかなという気もしてね.私が支援は必要やし,大事やなと思ったのは,そういうところもあります. ――やっぱり生活保護家庭はしんどいですね.生活保護が出るっていうのは,保護者が働けないんです.そうすると,子どもがかなりの家事をしてるんです.(中略)高校に入って自我が芽生えたときに,自分の置かれている状況がなんでこんなにしんどいんだって思うようになって,保護者との軋轢が出ちゃうんですよ.そうなったときには,ひどい場合には虐待という形になります. 子ども,若者,高齢者,女性,非正規労働者,外国人,障害者など,貧困は社会の広い層に及んでいることがよくわかります.この本で,生田さんが日々ふれあう人たちからつかみとった貧困の実態と,当事者の方たちの実感に触れていただきたいと思います.
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