1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。 パラレルワールドに生きるふたりの女性は、いたかもしれないもうひとりの「自分」。
進学、就職、恋愛、仕事か結婚か、子どもを産むか…… 無数の分岐点に、騙し絵のようにかかわってくる同じ名を持つ恋人や友人。
昏い森に迷い込み、道を見失い、惑い、選びながら進んだ先にあるものは。 川上弘美、待望の傑作長編小説、ついに文庫化。
「いつかは通る道」は若いころは二本くらいしか種類がないと思っていた。 でも、全然そうではなかった。 ──ルツ(46歳)
森は永遠に続くと思っていたのに、たぶんそんなに長くない先に、 わたしは森から出なければならないだろう。 ──留津(50歳)
「いつかは通る道」を見失った世代の女性たち。 選ぶ、突き進む。後悔する。また選ぶ。 そのとき、選んだ道のすぐそばを歩いているのは、誰なのか──
「ああ、この小説の構造も森なのだ。 ヘンゼルとグレーテルみたいにその仕掛けを一つずつ拾いながら、 さああなたも森へ行きましょう」 浜田真理子 (解説より)
装幀は山口信博さん、装画・挿絵はミナ ペルホネンの皆川明さん。
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