高度経済成長華やかなりし頃、少年が幼少期を過ごした東京には、郷愁あふれる景色が広がっていた……。 幻想文学の鬼才、怪奇小説の名訳者として知られる著者が幼い日に見た情景とは? 懐かしいメニューの数々をきっかけに、在りし日の風景をノスタルジー豊かに描き出す。 お子様ランチに興奮した三越の食堂、着流しで悠々と街を歩く祖父の姿、そして浅草の遊園地で一緒に遊んだねえやさんとの日々。 独自の文体で描いた南條商店版『銀の匙』。
◆目次◆ まえがき 花ちゃんのサラダ 花ちゃんのお勝手 きみよし焼き ひさご通り 日本橋の「スエヒロ」 オブラート かりんとう 「へいはち」考 金魚の糞 おすもじ 三越の食堂 カリーライス 三笠会館の唐揚げ 鯛めし あとがき 謝辞
◆著者略歴◆ 南條 竹則(なんじょう たけのり) 1958年東京生まれ。作家。翻訳家。東京大学大学院英語英文学修士課程修了。東京外国語大学、学習院大学講師。 『酒仙』(新潮社)で第5回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。近著に『ゴーストリイ・フォークロア』(KADOKAWA)。 他著書に『吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝』、『人生はうしろ向きに』(集英社新書)、『中華料理秘話 泥鰌地獄と龍虎鳳』(ちくま文庫)など。 訳書に『インスマスの影』(新潮文庫)など。
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