その時、何を見て何を想い、どう果てるのか。 空は蒼く広がっているのだろうか。 風は感じられるのだろうか――
齢76。作家、ときどき写真家が カメラを抱えて迷い込んだ "エンディングノート"をめぐる旅17。
「ぼくなどはもうとうに"死亡適齢期"に入っていたのだ」。 お骨でできた仏像、葬祭業界の見本市、元路上生活者の人の共同墓、海洋散骨……。 超高齢化社会日本で白熱する「よき逝き方」をめぐる現場に、カメラを手に接近し考えた3年間の"エンディングノートをめぐる旅"。 世界中を旅してきたなかで、異なる習俗、宗教の向こう側の生と死を見、体感してきた。何度も死にそうな目にもあったけれど、今、初めて、本当に真剣に「自分の仕舞い方」と向き合ったシーナが見出した新たな命の風景とは――。 作家生活40年を越え、約290タイトルを上梓してきた著者新境地の、静かなる一冊。
【目次】 「死」を知る生物 念願のお骨佛をおがみに 家のいのち 遺骸と地獄好き 四万十川での死 孤立死はいやだ 身のまわりの「死」のことなど 多死社会を迎えうつ葬祭業界 遺言状と死にそうになった話 葬列の記憶 鳥葬へのあこがれ 東京のイスラム教モスクに行く 墓のない国 ハイテク納骨堂の周辺 骨を喰らう。骨を撒く 遺言未満 八丈島の海へ あとがきにかえて
【著者略歴】 椎名 誠(しいな まこと) 1944年、東京生まれ、千葉育ち。東京写真大学中退。「本の雑誌」初代編集長。流通業界誌編集長を経て79年『さらば国分寺書店のオババ』でデビュー。89年『犬の系譜』で吉川英治文学新人賞、90年『アド・バード』で日本SF大賞を受賞。「怪しい探検隊」シリーズ、『岳物語』『大きな約束』『家族のあしあと』等著書多数。監督映画に『白い馬』(日本映画批評家大賞最優秀監督賞)等。
|