島田修二 編『昭和万葉集秀歌【1】戦争と人間』(講談社)に収録された約550首より、太平洋戦争に関わる約40首の短歌が題材として選ばれ、満を持して作曲された混声合唱作品。2019年10月27日(第一生命ホール)コーロ・カロス 2019 公演(指揮:栗山文昭/ピアノ:寺嶋陸也) にて委嘱初演された。戦争によって死に至った230万人もの日本兵士、そのさまよえる魂への果てしない弔いの想いを作曲者は精一杯表現し、合唱作品として昇華させようとした。短歌という形で描かれた、わが国が辿った太平洋戦争の始まりからその後、それに巻き込まれた人々の壮絶で悲惨な体験が全6曲にまとまった。各曲はattaccaで繋がり(抜粋の演奏も可能)、危機感や緊張感を常に持ちながら、詠い続けられる。戦争を知らない今の時代にこそ、歌ってほしい強烈なエネルギーを孕む作品である。初演の演奏会を収録したCD(『コーロ・カロス 2019 公演』日本アコースティック・レコーズ、NARC-2163/2164)が販売されている。
|