エベニーザー・ツィーザーは五百十一歳の老人だが、若さと美しさを保ち、大邸宅で自由気ままに暮らしている。その秘密は、屋根裏に棲むビーストとの取引だった。ビーストに珍しい食べ物をあたえ、その見返りに現金や品物、そして、不老薬をもらっているのだ。あるときビーストから「今年は、人間の子どもを食べたい」と要求され、エベニーザーは孤児院で見つけた、薄汚れた女の子ベサニーを連れてきた。ベサニーは手に負えないトラブルメーカーだったから、生け贄にはうってつけだ。しかし、ビーストはガリガリの女の子を見て「太らせてから連れてこい」と言う。そこで、エベニーザーはあの手この手で、べサニーを太らせようとする。「ちゃんと食事をしたら、なんでも願いごとがかなう」と?をつくが、それを信じたベサニーが「お願い、死んだ父さんと母さんを生き返らせて」と言うのを聞いて、エベニーザーはこれまで感じたことのない、不思議な痛みを覚えた。せめて、ビーストに食われるまで、ベサニーに楽しい時間を過ごさせてやろう、と思うのだが……。わがままな老人といたずら好きの少女が織りなす、てんやわんやの大騒動と、奇妙な友情を描く、痛快コメディ・ファンタジー。
我が家には屋根裏があります。これは音楽や映画を楽しんだり、お話会や配信ライブができるスペースです。それだけにこの本はひじょうに関心がありました。これはとても面白くて、決して飽きさせないお話です。私はこのお話を読みながら、わがままな老人といたずら好きの少女にひじょうに愛しい気持ちになりました。そして生きていることがとても楽しくなりました。ほんとに素晴らしいお話だと思います。 (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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