「だって、書けないんだもん。」 「わたしには、感想文、むり!」
夏休みの登校日に、どうどうと訴えているのは、三年生のみずか。 みずかは本が決して嫌いなわけではないのです。夏休みに入ってから、友だちのあかねちゃんと三回も市民図書館に行きました。でもみずかにとって感想文を書ける本がなかったのです。面白くなかったわけではありません。
「おもしろい本を読むと、むねがいっぱいになるの。 ああ、よかったなあ、おもしろかったなあって」
「先生、なんで感想文って書かなくちゃいけないの? わたし、本は読んでるし、ちゃんとおもしろかったよ。ああ、よかったぁだけじゃだめなの?」
ここまで読んで、ああ、わたしと同じ、ぼくと同じ、と共感する小学生がどれほどいることでしょう。みずかちゃんの言葉にそうそう、と強くうなずく子どもたちの顔が目に浮かぶようです。
そんな多くの子どもたちを代表するかのようなみずかの問いかけに、担任のえりか先生はどう答えるのでしょう? さらに、書きたい本が見つからないという悩みに対して、ある作戦を思いついたみずか。友だちのあかねちゃんと協力して遂行していきます。感想文を書く意義だけでなく、お話を想像して作っていく楽しさが伝わってくるところも本書の大きなみどころです。
お話を書かれたのは、児童文学作家の山本悦子さん。学校生活の中で起きる等身大の小学生の悩みや奮闘を描いたお話が特に素敵なのですが、『先生、しゅくだいわすれました』も読書感想文の時期にとても人気があります。こちらはその姉妹編とのことで、楽しい共通点が隠されています。ぜひ2冊を読み比べて探してみて下さいね。また、佐藤真紀子さんによる挿絵は、子どもたちひとりひとりの表情が豊かで元気いっぱい。今にも本から飛び出してきそうなほど生き生きとした子どもたちの姿が、お話をより盛り上げています。
感想文という苦手なものに対して、どう立ち向かい、どう納得していくのか。みずかちゃんの奮闘を通して、読む子どもたちもきっと感じることがさまざまあることでしょう。今年の感想文は、この本を題材にして、感想文についてあらたに知ったことや考えたことなどを書いてみる、というのもいかがでしょうか。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
八月一日、夏休みの登校日。みずかは先生に「だって、書けないんだもん」と言いました。おもしろい本を読んで、ああおもしろかったなあって、胸がいっぱいになる。どこがどうおもしろかったとか、何がよかったとか書こうと言葉を探そうとすると、しゅるしゅるしゅるって、おもしろかった気持ちがきえてしまう。だから「感想文、むり!」……書かないわけにはいかない読書感想文、みずかが考えた作戦とは?
物語を読むということは、登場人物に共感したり、自分がその立場だったらどうだろうかと想像力を働かせたりすることです。そのうえで感じた気持ちにぴったりの言葉を探して表現することが、読書感想文を書くことなのですが、「わたしにはむり!」と言う主人公・みずかに共感する読者は多いことでしょう。みずかたちの挑戦をとおして、読者はいつのまにか、物語の中に入りこみ、一緒に想像力を働かせてさまざまな気持ちを感じることでしょう。もう、感想文、書けますね!
「先生、しゅくだいわすれました」は、我が家の子供が小学3年生の時に夏休みの読書感想文で書きました!(笑)
こちらの本はその姉妹本のようですね。
我が家の子供も毎年、読書感想文には苦労しています。
読み手の子供たちは、この本の主人公にとても共感することでしょう。
この本での読書感想文を書くのも、何だか面白いのでは! (まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子11歳)
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