臨床心理学と精神分析の知見から読む、多くの観客を惹きつけたアニメーションに見える加速度的に増していく現在の日本人の心性とは。
目次より
第1部過剰な前向き行動力 第1章 宮崎駿『風立ちぬ』 1前向き行動力 2夢の肥大化と現実の矮小化 3空想優位 4現実軽視 5「生きて」 第2章 新海誠『天気の子』 1主人公の帆高 2光体験 3ひたすら走る 4前向き行動力 5大丈夫 6現代人の心の様相 第3章 今敏『千年女優』 1千代子の感情の谷 2今敏の漫画『太陽の彼方』(初出1988) 3ライフ・レビュー 4現実への回帰 5世代を越えて 6鍵の君とカプローニ 第4章 第1部まとめ 1前向き行動力の目標 2個人レベルへの関心 3葛藤が描かれない 4願望充足 第2部 子ども向け作品に見られる前向き行動力 第5章 高坂希太郎 映画『若おかみは小学生!』 1断絶 2抑圧された感情の噴出 3自明性の裂け目 4仕事が大事 5日常性への回帰 第6章 岡本忠成の短編アニメーション 1交通事故:自明性の裂け目 2初恋 3木の輝き 4内なる自然 5意識の変容体験 6イメージの力 第7章 アン・ジェフン『にわか雨』 1移動 2岩橋の真ん中 3水面 4にわか雨 5少女 6少女の死 第8章 第2部のまとめ 1死の不条理についての体験 2日常の変容 3日常に戻る 第3部 前向き行動力の阻害 第9章 高畑勲『かぐや姫の物語』 1虚無の世界 2花見のまやかし 3真心という言葉のまやかし 4自他の逆転 5現実への回帰 6姫の前向き行動力 第4部 日本のアニメーションの特質 第10章 過剰な前向き行動力の行方 1願望充足 2死の内在 3自閉と耽溺の世界 4耽溺のその後:『BOX─箱の中に何かいる─』を参考に 5現実への回帰 終わりに
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