ぼくのおじいちゃんとおばあちゃんは、本屋さん。パパとママは外で働いているので、ぼくは学校が終わると本屋さんに帰ります。おばあちゃんに絵本を読んでもらったり、おじいちゃんが忙しそうに働く姿を見たり。ときにはキャッチボールやサッカーで遊んだり。でもある日、「(おじいちゃんもおばあちゃんも)そろそろ、本屋さんをやめようと思うんだ」というパパの言葉に大きなショックを受けて、ぼくはある決心をします……。
街の本屋さんがどんどん減っていることを、気づいている人も多いのではないでしょうか。かつては当たり前のようにあった場所がなくなり、「ぼく」のように自営業で働く家族の姿を見ながら育つ子どもも、今後ますます減る現実があります。
本書は、日本の街の本屋さんへ「がんばれ!」というエールを込めて菊池壮一さんと塚本やすしさんが作った絵本。塚本さんは『しんでくれた』(谷川俊太郎・詩/佼成出版社)や『やきざかなの のろい』(ポプラ社)などで様々な絵本賞を受賞している作家です。本屋さんを愛する「ぼく」を、力を込めてまっすぐに描いています。
6歳の息子に読んでみたところ、うんうんとうなずき「おもしろかった」と一言。子どもにとっては身近な「本」の仕事が、社会の中でどんなふうに変わっていったのか、少し想像できる一冊です。戦争時代に本屋さんがどのように本を守ったかも描かれ、ふだん子どもたちが意識しない「(大人の)職業意識」のようなものを考える上で刺激になるかもしれません。 小学校低学年で「街」や「仕事」について学ぶ機会もある子どもたち。ぜひそのひとつとして「本屋さんの仕事」にも思いを馳せてほしいなと思う絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
がんばれ!街の本屋さん 本の文化を絶やさない! 少年の強い想い。 感動の一冊です。
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