ドストエフスキー生誕から200年目の2021年、世界は新型コロナウイルスの感染拡大という誰も予想しなかったかたちで転換期を迎えている。 激動の時代を生き、コレラ蔓延というパンデミックも経験した作家が鋭い直感と深い洞察から生み出した言葉には、今を生き抜くためのヒントが含まれているのではないか。 資本主義の行方、暴力、信仰などについて残された言葉の数々は、予言のようにも響く。 ドストエフスキー初心者にも、熟読者にも衝撃的な現代への提言。
◆目次◆ 序 豊饒の「黒」 第一章 金、または鋳造された自由 第二章 サディズム、または支配の欲求 第三章 苦痛を愛する、または「二二が四は死のはじまり」 第四章 他者の死を願望する 第五章 疚しさ 第六章 美が世界を救う intermission 「神がなければ、すべては許される」 第七章 「全世界が疫病の生贄となる運命にあった」 第八章 夢想家、または「永遠のコキュ」 第九章 不吉な道化たち 第十章 神がかりと分身 第十一章 破壊者たち 第十二章 父殺し、または「平安だけがあらゆる偉大な力の……」 あとがき 主要参考・引用文献一覧
◆著者略歴◆ 亀山郁夫(かめやま いくお) 1949年、栃木県生まれ。東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京外国語大学教授、同学長などを経て、名古屋外国語大学学長。 専門はロシア文学・ロシア文化論。主な著書に『破滅のマヤコフスキー』(木村彰一賞)、『磔のロシア』(大佛次郎賞)、『謎とき『悪霊』』(読売文学賞)、主な訳書にドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(毎日出版文化賞特別賞)など。
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