「さあ そろそろ いかなくっちゃ」
土の中で目を覚ましたのは、一ぴきのゆきむし。生き物たちに冬の訪れを知らせにゆくのです。仲間たちは、すでに次々と飛びだっています。そのゆきむしも、慌てて追いかけますが、思うように飛べません。
「とびかたを おしえてくれない?」
まわりの虫たちに聞きながら、やっとふわりと風に乗り、もうすぐ冬が来ることを告げてまわります。ところが、みんなは既に知っているみたい。自分の知らせはいらないのかも……と落ち込みかけた時、一人の子どもが彼の姿を見つけるのです。
もうすぐ冬がやってくる頃、雪が舞うように飛ぶために「雪虫」と呼ばれるこの虫は、北海道や東北地方で主にみられるアブラムシの仲間。この神秘的な姿が、冬の風物詩として親しまれてのだそう。北海道出身の絵本作家・松田奈那子さんが、この小さな冬のお知らせを、愛らしく描き出します。
季節が移りかわる朝、すーんとした冷たい空気に包まれるその感覚。そこにふわりと現れる「ゆきのようせい」。厳しいだけではない、また違った表情をした冬のイメージを見せてくれています。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
秋のおわり、雪虫は森から街まで、あらゆるいきものたちに冬の訪れを知らせにゆきます。 ある一匹の雪虫も、りすやくまのおやこたちのところへ伝えに行きますが、もうすでに知っていたようです。 せっかくきたのに…と落ち込む雪虫。しかし街につくと子どもたちが見つけてくれました。 そのとき、ある奇跡が…。
雪虫は北海道・東北地方で主に見られる虫で、アブラムシの仲間です。白くて、ゆっくりふわりと雪が舞うように飛ぶため、「雪虫」と呼ばれるようになったそう。
神秘的な雪虫を、鮮やかな季節の移り変わりと共に優しく描きます。
まず、表紙のかわいさにひかれました。主人公は雪虫なのですが、雪虫に縁のない地域で住んでいるので、わくわくしながら読み進めました。ほんわかあたたかいお話。幻想的ないきものに、ますます興味をひかれました。絵もカラフルでかわいいです。 (あんじゅじゅさん 50代・その他の方 )
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