2019年10月に和田誠さんが旅立たれたあと、事務所から発見された1953年〜1956年(都立千歳高等学校2年生から多摩美術大学1年生)の日記(ノート6冊分)を、手書き文字のまま書籍化。 ビニールブックカバー付き。
「試験中にもかかわらず何本も映画を観たり、大好きなアル・ジョルスンのレコードを集めたり、スケッチブックだけ持って修学旅行に行ったり、学園祭で劇の台本を書いたり、ジェイムス・ステュアートに出した手紙の返事がきて大喜びしたり、雑誌にスターの絵を描いて投稿したり……。日記の中には、17歳から19歳の和田さんのキラキラした青春が詰まっていました。(略)この日記には、和田さんの作品や感性の“たね”がたくさん隠されています。その後の人生を変えることになる貴重なエピソードもさらりと綴られています。1950年代へ宝探しに出かけるような気分で、楽しんでいただけたら幸いです」(和田誠さんの妻・平野レミさんの「この本について」より)
「人の日記を読む、しかも書いた本人の知らないところで。背徳感から来るワクワクとゾクゾクと共に、僕はこの本を読み始めました。でも次第にその背徳感はどこかへ消えてしまっていました。なぜならこれはもはや日記ではない。日記を超えてしまっている。紛れもなく和田誠さんの『作品』だったからです」(三谷幸喜さんの「解説:和田少年のこと。」より)
ノートの端に、のちに著書のタイトルになる映画『ジョルスン物語』に出てくるセリフ「お楽しみはこれからだ」がメモしてあるページ、うれしかった出来事や面白かった映画のタイトルが袋文字や太文字で書いてあるページ、ハリウッドスターが来日して行われた試写会の様子や集めていたサボテンをスケッチしたページ、友達からきた年賀状を模写したページ、映画館のチケットや電車の切符を貼ったページ……など、デザイナー・イラストレーターであった和田誠さんならではの、見た目も内容も楽しい日記です。 美大受験や授業の話、課題で描いた当時の絵も収録されているので、美大を目指している方にもおすすめ。 欄外には日記に出てくる語句の脚注を入れました。
〈和田誠さんの日記より〉 「わざわざ勉強だけのために学校になんか来てやしない。学校の最大の楽しみは友だちだ。友だちをぬかして学校は考えられない」(高校3年のクラス分けが発表になり仲の良い友だちと離れてしまった1954年2月19日の日記)
「自分の描いたものをみんなが笑ってみてくれるのは、描いてる時のうれしさと別に、またとてもうれしい」(先生たちの絵を西部劇風に描いて学校に持っていったら評判がよかった1954年12月13日の日記)
「映画が好きな俺は幸福だとさえ思った。事実幸福だ」(試写会でヒッチコックの『裏窓』を観た1955年1月28日の日記)
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