「きょうも あのおにいさん、しいくごやに いるかなあ。いやだなあ。」 れなは、小学1年生の女の子。学校で飼っているウサギのチュロに会いたいのですが、飼育係の6年生のおにいさんが怖くて悩んでいます。同級生のたけちゃんに、優しいおにいさんだよと言われても、ママに、なかよくなれるといいねと言われても、いつも怒鳴ったり怒ったりしているのを見ているので、仲良くなんてできっこないと思っているのです。
れなが飼育小屋にいくと、おにいさんが臭いうんちの掃除をしているところを目撃します。また、チュロの足が悪くなった理由を聞いて、なぜおにいさんがみんなのことを怒るのかを知ります。おにいさんは本当は優しいのかもしれないと思い始めたとき、ある事件が起こります。
低学年の子が一人で読むのにぴったりの幼年童話。作者は児童書作家として活躍する今井福子さんです。主人公の気持ちの変化を優しい言葉で丁寧に綴っています。そしてお話にぴったりの、明るく親しみやすい挿絵を描くのは、マンガや装画でも人気のイラストレーターいつかさん。すべての見開きページにイラストがたっぷりと添えられ、お話を盛り上げています。お二人がタッグを組んだ作品には、他にも『友だちをやめた二人』(文研出版)があります。
はじめは不安な表情をしていたれなが、驚いたり戸惑ったりしながらも成長していくすがたに、子どもたちは自分と重ね合わせ、勇気をもらえるはず。動物好きの子にもぜひ読んでもらいたい一冊です。優しい心が通じ合い、みなが笑顔になるラストシーンには、とても爽やかな風が吹いています。
(出合聡美 絵本ナビライター)
れなは、小学1年生の女の子。小学校の飼育小屋にいるウサギのチュロに会いたいと思っている。でも、飼育小屋にいる6年生のお兄さんが、こわくて、会いに行けない。いつも怒鳴ったり、怒っているようだ。 同じクラスのたけちゃんは、優しいお兄さんだっていうし、ママも友だちになれるといいねっていうけど、絶対に無理。 飼育小屋に行くと、お兄さんは、とても臭いのにウンチの掃除をしていた。たけちゃんのいうとおり、いいお兄さんなのかな。 お兄さんと仲良くなれるかな。
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