めぐちゃんは、おねえちゃんの大切なぬいぐるみにジュースをこぼし、カンカンにおこらせてしまいます。おねえちゃんはそのまま二階の部屋に行ってしまいました。
「どうしよう…」
こまってしまっためぐちゃん。こんな時どうしたらいいのか、本当はみんなどこかでわかっています。でも、おねえちゃんのいる二階は果てしなく遠く感じるものなのです。
「乗ってください」
突然、めぐちゃんの目の前にあらわれたのは、大きなバス。運転手は大きなクマ。バス停には「ごめんねゆき」と書いてあります。中に入ると、他にも小さな乗客たちが乗っていて……。
さっきまではあんなに近くにいたはずなのに。でも今、めぐちゃんは、バスに乗って、ドキドキしながらおねえちゃんのところへ向かっています。深い緑に囲まれたここはどこなのでしょう。先に降りていく乗客たちに運転手は何をささやいているのでしょう。不思議な出来事に背中を押されながら、めぐちゃんは少しずつ顔をあげていくのです。
不安なめぐちゃんの表情を印象的に描きだすのは、デビュー作品『あめかっぱ』(偕成社)でも話題となった注目の絵本作家むらかみさおりさん。緻密に描かれる背景が独特の世界観を生み出し、女の子の心情の変化を包みこんでいきます。
こんなバスが自分のところにも来てくれたらな。不思議だけれど、とっても身近に感じられる絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
おねえちゃんを、カンカンにおこらせてしまっためぐちゃんの前に、とつぜんバスがあらわれました。 運転手は大きなクマ。「乗ってください」の言葉にさそわれて、思わずバスに乗ってしまいます。 バスの乗客は、友達に本を返し忘れている子ネコとお母さんとの約束をやぶってしまった子リスたち。 バスは、それぞれ「ごめんね」を言わなければならない相手の家で、止まります。 みんな、うまく「ごめんね」が言えるでしょうか。
子ども向けのメルヘンなお話しかな〜と思って読んだら、意外と深く心にじんわりと響く素敵なお話しでした。
「ごめんね」って一言がなかなか言えないのはみんな同じ。でもあやまりたい気持ちを後ろからそっと後押ししてくれるくまさんみたいな存在がいてくれたら、きっと気持ちも楽になるのでしょうね。静かに見守るくまさん。親として私もそうなりたいなと思いました。 (ouchijikanさん 40代・ママ 女の子9歳)
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