地雷は、わたしの両足をもぎとった。 だけど、「魂」まで奪えはしない! 今も地球上には1億数千万の地雷が埋まっている。これは、アフリカの小さな美しい国モザンビークの少女ソフィアが体験した、現実の物語(ノンフィクション)である。
夜中に降った雨で道の赤土がまだぬれている朝のことだった。ソフィアはマリアと交代で目をつぶって走るのはどうかと考えついた。ソフィアは目をつぶったまま5、6メートル走った。たぶん土がぬれていたからだろう。ソフィアはすべって何歩か道の外に出てしまった。 「なにやっているの?」マリアがきいた。「遊んでるだけ」ソフィアは答えた。ソフィアはまず左足で跳んだ。それから道に戻ろうと、右足をおろした。 そのとき、地面が爆発して細かい細かいかけらになって飛び散った。――(本文より)
打ち続く内戦で、家を焼かれ、父を殺されたソフィアは、ようやくたどりついた村で「地雷」を踏み、最愛の姉マリアは死に、じぶんも両足をもぎとられる。耐えがたい痛み、家族と引き離される孤独、絶望……。だが、ソフィアは、どん底のなかでも勇気を失わず、見えない両足でアフリカの大地にすっくと立ちあがるのだった。
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