石津ちひろさんの詩と、おくはらゆめさんの絵による、心をくすぐるような素敵な絵本が生まれました。
春から始まり、夏、秋、冬を経てまた春へと思いを馳せる全8編の詩は、自分の記憶の中にある四季をたどっていくようで、ふわふわとした心地よい気持ちにさせてくれます。
言葉のおもしろさや、そこからふくらむイメージを味わいたくなる詩には、物語を読むときとはまた違った楽しさがあります。そのためか、物語だと思って読み始めた息子は、あれ?と言う顔。息子がもっと小さかった頃は絵本を読み聞かせても物語を楽しむというよりは言葉の響きや絵を楽しむことが多かったのですが、いつの間にか趣向が変わっていたようです。そこで、「実はこの詩には秘密が隠されているんだよ」と私が得意げに言ってみると、息子は興味津々に。
そうなんです。 「にじ」と「あきが きた」は折り句、「ねこのこね」は回文になっているんです。折り句とは、詩の中に別の意味を持つ言葉が折り込まれているもの、回文とは、上から読んでも下から読んでも同じ音になるものです。折り句の詩では頭の文字を追って読んでいくと、詩の中にはなかった言葉が現れました。回文の詩では、同じ言葉が2つあるかのように、気が付かなったところにも言葉が現れました。それを見つけた息子は宝物でも見つけたかのような満面の笑みを見せてくれました。
子どもは育つにつれてどんどん複雑な物語を読むようになっていきますが、言葉のおもしろさやそこからふくらむイメージを楽しむ想像力も持ち続けてもらいたいなと思うのでした。
(近野明日花 絵本ナビライター)
花盛りの春から夏、秋、冬になり、最後はふたたび氷が割れて春へ。美しい四季の景色の中、猫の子が主人公のように、言葉に合わせて楽しく動きまわる。 回文や折り句などの日本の言葉遊びもまじえた、8編の詩を楽しめる絵本。
四季折々の季節を感じさせてくれる8つの詩が描かれています。
折り句や回文もあり、言葉遊びも学べます。
イラストもほのぼのしていて、癒されていいですねー。
季節を感じながら、味わいたい素敵な絵本に思いました。 (まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子12歳)
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