「ひとりで苦しまないで あなたの恋をかなえます ダーク」
携帯にとつぜんこんなメッセージが来たら要注意!
思わずタップすると次のようなメッセージが続きます。 「あなたは何に苦しんでいるのですか?」 「あなたの願いはなんですか?」
遠距離恋愛中の真司からの連絡が途絶えて不安を抱える初音(「二人でパーティ」)。 同じ塾に通う偏差値の高い駿祐と同じ中学校に行きたいと願う成美(「ずるい受験」)。 大好きな先生が海外に行かないでほしいと願うみのり(「先生、行かないで」)。 中学で一番の人気男子に自分だけを見てほしいと願う結(「君がいないとダメなんだ」)。 文化祭の劇で流星くんに王子様役をやってほしいと願うシンデレラ役の芽里亜(「いじわるなシンデレラ」) ‥‥‥。 悩める小学六年生から中学生の男女が登場する「LOVE×ホラー」が12話。12話の中には、それぞれの物語の続きのお話があることも。どの主人公たちも恋の悩みは切実です。どうしたら良いか分からずに苦しくて誰かに頼りたくなる気持ちもよく伝わってきます。主人公たちが願ったことはどれも自然な願い。決して誰かを不幸にしたいと思って願ったわけではありません。問題は、知らないサイトにその願いを書き込んでしまったこと。
物語を読み進める中で興味深いと感じたのは、主人公たちが、自分の悩みを「ダーク」に書きこんだ後、「あなたの願いはなんですか?」と聞かれて心からの望みを書き込んだ時、そこでいったん気持ちがすっきりしたり、満足すること。なにかに悩む状態というのは、起きていることだけが頭をぐるぐる回って自分がどうしたいのかが分からなくなっているからなのかもしれません。だからこそ「ダーク」に「あなたの願いはなんですか?」と聞かれて自分の本心が掴めた時、気持ちがすっとするのかもしれませんね。
と、ここで物語が終われば良いのですが、「ダーク」に書き込んでしまった以上、後から後悔しても一度書き込んだことは消せなくなります。そして「ダーク」は願いを必ず叶えてくれるのです。どんな状況にあっても。どんなひどい事になろうとも、必ず‥‥‥。
物語としてもハラハラドキドキ、続きが気になってあっという間に一話読めてしまうような面白さですが、物語を通してSNSに潜む危険を伝えてくれる貴重な一冊です。
(絵本ナビ編集部)
朝読にぴったり! 5分で読める「LOVE×ホラー」が12話! SNSに潜む危険と向き合うきっかけにもなる1冊。 「ダーク」ってサイト、知ってる? 恋の願いをかなえてくれるらしいよ。でもさ、送信しちゃうと、後戻りできないんだって……。 ●キュン♡バトルゲーム――親友と同じ人を好きになっちゃった。わたしは親友に勝ちたくて「ダーク」に書きこんじゃったの。そしたら……。 ●天草くんは二度死んだ――亡くなった天草くんのことをずっと想い続けてきた。想いがとめられなくて、つい「天草くんが蘇りますように」って書きこんじゃった。そしたら……嘘でしょ。 【もくじ】二人でパーティー/キュン♡バトルゲーム/ずるい受験/静かにしなさい/先生、行かないで!/おれを嫌いになってくれ/塔の上の初恋/モテモテになりたい!/君がいないとダメなんだ/天草くんは二度死んだ/いじわるなシンデレラ/好きと伝えたい
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