真っ暗な夜空に金色の三日月がのぼると、ネコの街のはずれにある小さな公園に、大きな看板を背負った黒ネコが現れました。看板には「ためいきありませんか?大きく深いためいき、大歓迎!」そしてニレの木に貼られたポスターには「ためいき一つにつき、ハッピーになる、あまいあまーい、黒ネコ特製水アメ一つ差し上げます!」と書いてあります。 どこからか集まってきたネコたちが、列を作って並び出しました。水アメをなめたネコはみんな、一瞬、目を輝かせます。
黒ネコの家には、友だちのドラゴンが住んでいます。このドラゴン、ただのドラゴンではありません。ためいきのマイナスエネルギーを吸収して、そのマイナスをプラスに変換し、ハッピーなエネルギーに変えることのできるラッキードラゴンなのです。 というわけで、黒ネコは、せっせとみんなのためいきを集めることになったのでした。ドラゴンはためいきで作るゼリーが大好物。ゼリーを食べるたびにしっぽの玉にハッピーエネルギーを貯めています。 ある時黒ネコは、ドラゴンのしっぽの玉が虹色に光るのを見ているうちに、すてきなアイディアを思いつきます。
『きらわれもののこがらしぼうや』(PHP研究所)や「ハリネズミとちいさなおとなりさん 」シリーズ(フレーベル館)など、心温まる幼年童話を数多く描いている仁科幸子さん。お話に添えられた、仁科さんの描く優しくキュートな挿絵もとても魅力的です。時折カラーの挿絵ページも混じって、大いに楽しませてくれます。
さて、ネコの街は、ラッキードラゴンのおかげでハッピーになりました……。となると思いきや、予想もしない方向へと向かっていきます。「ためいきは本当にマイナスなものなのか?」「本物のハッピーとは何か?」と考えさせられるおはなし。読み進めると、環境問題や人間のあり方など、今の社会問題を含んだ内容とわかり、ハッとします。 小学生だけでなく、中高生や大人の心にも響く1冊です。
(出合聡美 絵本ナビライター)
まっ暗な夜空に金色の三日月がのぼると、ネコの街のはずれにある公園に、大きな看板を背負った黒ネコがあらわれました。看板には、 『ためいきありませんか?大きく深いためいき、大歓迎! 』 ニレの木にはられたポスターには、 『ためいき一つにつき、ハッピーになる、あまいあまーい、黒ネコ特製水アメひとつ差し上げます! 』 どこからか集まってきたネコたちは、列を作って並びだし…。
児童書を読み終え、またすぐ読み返したのは、この本が初めてかもしれません。いい意味で、消化に時間がかかりました。
どこか、「哲学の入門書」のような感覚になったのは私だけでしょうか?
読んだ子供たちが、自由に感想をもち、そこからいろんな方向へ自分なりの考えをめぐらせる事のできる作品だと思います。 (かあさんはおこりんぼうのメガネさんさん 50代・ママ 男の子14歳)
|