みいちゃんはこれからお風呂に入ります。でもちょっぴりご機嫌斜め。いつも一緒に入ってくれていたお母さんに「きょうはひとりではいってね」と言われたからです。お母さんは赤ちゃんがなかなか寝てくれないので、手が離せないのです。
しかたなくみいちゃんはひとりでお風呂のドアを開けました。すると「はいよ」という声が。「だれですか?」みいちゃんが声をかけると、「カバです」と大きな体が振り返ります。
カバさんは体を洗い始めますが、背中に手が届きません。「ながしてあげる」みいちゃんはいつもお母さんがしてくれるように、カバさんの背中をながしてあげます。満足げにお風呂を出るカバさん。でもまた「はいよ」とお風呂にやってきて……。
お風呂で繰り広げられる、ワクワク楽しい空想の世界。子どもの夢をそのまま表現したようなおはなしです。出ていったと思えば、また「はいよ」とやってくるカバさん。そのとぼけた表情は愛嬌があり、仕草もまた愛らしいです。ミイちゃんも、何度もカバさんに驚かされながらも、楽しそうにお風呂時間を満喫しています。
作者のもりのとしこさんは、森の動物たちが主役のお話や絵を描くことが多い、森と山と動物が大好きな作家さん。優しいタッチのイラストは、ホカホカ温かなお風呂にぴったり。このおはなしを読んだら、きっとお風呂の時間が待ち遠しくなりますよ。
(出合聡美 絵本ナビライター)
みいちゃんは、これからお風呂にはいるところ。いつもいっしょのおかあさんが、今日はいそがしいから、ひとりで入ってって。 ちょっとイライラしながらお風呂のドアをあけると、おおきな動物がいました。 「だれですか?」 「カバです」
|