
かのこ庵に、幼い少女の幽霊が訪れた。 「すい」と名乗った彼女は、朔の式神である天丸・地丸を見て喜ぶ。なんと二匹は、江戸時代、山神に捧げる贄にされた彼女を守ろうとして死んでしまったというのだ。 すいも結局山の神に喰われ、死んでしまった。その後成仏できずに彷徨っていたが、ようやく時満ちてかのこ庵に辿り着いた。 山神の攻撃により傷ついた天丸・地丸は、瀕死の状態を朔の先祖である御堂柊に救われ、すいと再会できるまで御堂神社で式神として仕えてきたのだという。 二匹の目的は、すいと一緒に、いつか幸せに成仏することだった。その舞台がととのったのだ。 切ない過去、そして二匹の思いを知ったかの子は、すいと天丸・地丸のために、何かしてやりたいと思い……。
願いがあるなら、ここにおいで。 夜だけ開店する、あやかし専門の和菓子処で、新米和菓子職人と、麗しい鎮守様がお待ちしております。 心あたたまる、妖しお菓子の人情ストーリー、ついに完結!
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